はりか、という思いだ。
以前から「2ヵ月あまりの間に2つの大きな選挙を実施する経費や社会的コスト」が問題
視され、野党の民進党も選挙費用の節約をと同時選挙を主張していた。
世論調査で定評のある台湾のビジネス誌『遠見』が昨年11月中旬に実施した世論調査では、
馬英九総統への満足度(支持率)は34.2%で10月より4.0%下落し、「馬総統および内閣の
政治運営への満足度」の世論調査でも、総合評価では、「満足」が34.2%、「不満」が51.6
%となっていて、やはり前月から4.0%落ちている。
今年3月10日に行った与党の中国国民党寄りといわれる「聯合報」の世論調査でも、馬総
統への満足度は35%とあまり変わっていない。
一昨年8月の八八水害で露呈した不手際の際の20%前後に比べれば上がってはいるものの、
現政権にとって決してはかばかしいものではない。昨年11月の五大都市選挙でも、与党は3
市を押さえたものの得票数は野党の方が5%上回った。
小選挙区制と比例代表制の立法委員選挙では、制度そのものが組織票を固めている与党
に有利とみられているが、このダブル選挙は、野党も賛成するコスト削減を大義名分とし
て、同日選挙で投票率を上げた方が有利と見込んだ与党の意向が反映されたようだ。
朝日新聞の記事がそのあたりを書き込んでいるので、下記にご紹介したい。
台湾、総統・立法院のW選実施へ 来年1月
【asahi.com:2011年4月19日】
http://www.asahi.com/international/update/0419/TKY201104190485.html
台湾の中央選挙委員会は19日、次の総統選と立法院(国会)選の同日実施を決めた。投
票日は来年1月14日か21日の見通し。結果を有利にしたい与党・国民党の意向を反映した初
のダブル選だが、吉凶のいずれに出るか、同党にとって賭けでもある。
前回は立法院選が2008年1月、総統選が同年3月だった。ともに任期4年で、このまま来年
1、3月に選挙をするより同日の方が経済的というのが表向きの理由だが、馬英九政権と国
民党には投票率を上げる狙いがある。
投票意欲が低い支持層を抱える同党は、投票率が上がる方が有利とされる。注目度が高
い総統選で、立法院選の投票率を引き上げる効果が期待されている。
日付も重要だ。来年は1月23日が旧暦の元日。その直前の選挙なら、中国に滞在するビジ
ネスマンらが帰郷し、投票できる。対中関係の安定を望む彼らには国民党支持者が多く、「見
込まれる40万票のうち7割とれる」(国民党幹部)。野党・民進党との間で16万票差がつく
計算で、接戦では軽視できない。
08年5月に発足した馬政権はリーマン・ショック、水害対応の不手際など問題があるたび
に支持率を落とし、その後も思わしくない。党の組織力は低下し、馬総統再選に向け国民
党は危機感を持っている。
2月中旬に開いた政権・与党首脳会議は立法院選(定数113)の目標を過半数と定めた。
現73議席からの大幅減は織り込み済みだ。この難局を同日選でしのごうとしている。
現議席数33の民進党は同日選を「政治的な操作」と冷ややかに見るが、批判の調子は強
くない。党勢回復で、総統ポスト奪還と立法院過半数を同時に実現する可能性も出てきた
とみているためだ。(台北=村上太輝夫)