台湾の歴史に興味/映画「海角七号」ウェイ・ダーション監督

産経新聞(1月8日)より
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100108/acd1001080803001-n1.htm

■台湾の歴史に興味 映画「海角七号 君想う、国境の南」 ウェイ・ダーション監督
日本統治時代の台湾の史実を現代の若者を通して浮き彫りにした映画「海角(かいかく)七号 君想う、国境の南」が、東京・シネスイッチ銀座で公開されている。ウェイ・ダーション監督(41)は「当時の国際情勢などの理解なくして過去を批判することはできない」と語る。

「海角七号」とは、日本統治時代に存在した台湾南部の小さな町の住所のことだ。郵便配達のアルバイトをしている阿嘉(ファン・イーチェン)は、現在は存在しない海角七号あてのラブレターを見つける。差出人は、敗戦で台湾から引き揚げた日本人だった…。
ウェイ監督は、台湾の郵便配達人が日本統治時代の旧住所あてに日本から出された手紙を2年かけて現住所を調べて届けたという実話からヒントを得た。「もしその手紙がラブレターだったらどんなにロマンチックだろうと思った。そこに若い世代の物語を盛り込んだ」と話す。

2007年に死去した台湾のエドワード・ヤン監督の「カップルズ」などで助監督を務めたウェイ監督だが、長編はこれがデビュー作になる。「台湾の歴史にとても興味がある」と語る監督は現在、1930年に台湾中部の霧社(むしゃ)で起きた大規模な抗日運動「霧社事件」の映画化に取り組んでいる。実はこの企画で長編デビューするつもりが、映画監督としての実績がなかったため10年間出資者が現れず、商業映画を撮る実力を見せるために撮ったのが「海角七号」だった。
念願の歴史大作について「霧社事件を抗日戦争と位置づけるのは立場の問題。正しいか悪いか、間違っているか間違っていないかは立場の問題なのです。私たちにできることは、お互いをもっと理解することではないでしょうか」と強調する。「海角七号」で、コンサート会場で日本人と台湾人が一緒に日本語の「野ばら」を歌う場面に、その思いが表れている。(伊藤徳裕)



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