台湾の日本語世代には反日の人はいない [台湾歌壇代表 蔡 焜燦]

日本会議が発行する月刊「日本の息吹」7月号に「台湾歌壇」の蔡焜燦(さい・こん
さん)代表がNHK「JAPANデビュー」問題について執筆し、「どうか日本の皆様は、
『JAPANデビュー』で捏造歪曲された台湾の歴史を丸呑みにしないでください」と訴
えている。

 司馬遼太郎が「老台北」と名付け、教養深い台湾の日本語世代の中でもっとも日本人に
知られていると言ってもいい蔡焜燦代表が、的確にNHK「JAPANデビュー」の問題
点を剔抉(てっけつ)している。

 台湾と日本の深い絆を扼(やく)そうするNHKに対し、「台湾歌壇」も抗議文を発表
する予定だと漏れ聞く。それも歌壇らしく、各人が短歌に詠んだものも併せてNHKに送
るのだという。                            (編集部)

■月刊「日本の息吹」
 http://www.nipponkaigi.org/0600-ibuki/0610-syoukai.html


【日本の息吹 7月号「今月の言葉」】

台湾の日本語世代には反日の人はいない
NHK番組「JAPANデビュー/第一回・アジアの“一等国”」について

                             台湾歌壇代表 蔡 焜燦

 四月五日にNHKの番組「JAPANデビュー」の第一集として、台湾について放映さ
れました。ところが、その反響はというと、台湾の人々を怒らせ、また台湾をサポートし
ている日本のたくさんの方々を怒らせ、NHKにクレームが殺到しているようです。字数
に限りがありますが、以下のことだけは是非お話しておきたいと思います。

 それは、台湾の日本語世代の人達には、反日の人は一人もいないということです。台湾
には、「知日」「親日」そして私の造語で「愛日」、また私の畏友で、台湾川柳会の主宰
であった故李!)璋氏の造語で「懐日」という言葉はあるけれども、「反日」は無いのです。

 後藤新平にしても、番組では悪く評価していましたが、後藤新平は新渡戸稲造を台湾へ
招聘して一九〇一年には、台湾で近代的な製糖工場を造っています。五十年間に二十六の
近代的な製糖工場ができています。この製糖工場は一九六〇年代、七〇年代まで、台湾の
経済を支えてきました。樟脳も昭和十年前後まで日本の樟脳のシェアーは世界の八十五パ
ーセントを占めていました。そのほとんどは台湾で造られていたのです。

 また後藤新平が台湾に来て台北市の地下水道を鉄筋コンクリート造りにしたのは、東京
市よりも早かったのです。

 日本は台湾を五十年間統治しましたが、一九四五年当時の台湾の人の就学率は九十ニパ
ーセントでした。オランダはインドネシアを三百年以上も統治しましたが、就学率は僅か
三パーセントでした。この事実だけでも日本が台湾にどういうことをしたかがお分かりに
なると思います。

 あの日NHKの放映では、日本語世代の人々が皆、反日感情を持っているような報道の
仕方でした。しかしその後で、その内容を覆す事実があらゆる方面から出てきました。ど
うか日本の皆様は、「JAPANデビュー」で捏造歪曲された台湾の歴史を丸呑みにしな
いでください。

 台湾は世界一の親日国家であります。私がいつも言っているのは、台湾と日本は運命共
同体であるということです。台湾がもしあの強権国家に呑まれたら、台湾海峡はあの国の
内海になります。そうしたら日本はどうなりますか? 言わなくても分かると思います。

 これから日台間の絆を次の世代で固めてゆくということが、私達の責任ですから、その
方面でお互いに頑張ってゆきましょう。

さい こんさん
昭和二年台湾中部・清水生まれ。岐阜陸軍航空整備学校奈良教育隊入校。偉詮電子股[人
偏に分]有限公司重事長(会長)。司馬遼太郎の『台湾紀行』に“老台北”として登場。
著書に『台湾人と日本精神』など。



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