昨年7月、産経新聞論説委員の河崎眞澄氏が2019年4月3日から2020年2月2日まで同紙に連載の「李登輝秘録」が単行本となり、本会でも推薦図書としてご案内した。本書には李登輝元総統も「日本の新聞記者が冷徹な目で、台湾がたどった民主化への苦難の道を、ここまで明確に綴った記事は例がない」と推薦の辞を寄せられていた。
その直後の7月30日に李元総統が亡くなり、奇しくもその日、河崎氏からEMSで台湾に届けられた。
一周忌を迎えた今年7月に台湾で中文版が前衛出版社から出版され、8月14日午後、台北市長沙街の國史館において新書発表会が行われた。李登輝基金会からは李安[女尼]董事長(会長に相当)や執行長の鄭睦群・淡江大学助理教授、國史館の陳儀深館長、翻訳した?昭勲氏、産経新聞の矢板明夫・台北支局長、監修者の李明峻氏などが出席し、著者の河崎氏はビデオで本書執筆に至る経過などを説明したそうだ。
中央通信社は、新書発表会では「安倍晋三前首相が李氏に寄せた『温かい笑顔と力強い握手、台湾への揺るぎない愛情と使命感、日本に寄せる温かい期待の言葉を、今も忘れることはありません』とする追悼メッセージが紹介された」と報じている。
—————————————————————————————–安倍前首相、李登輝氏しのぶ「台湾への揺るぎない愛情と使命感忘れない」【中央通信社:2021年8月14日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202108140004.aspx
(台北中央社)昨年7月に亡くなった李登輝(りとうき)元総統の関連本出版記念イベントが14日、台北市内で開かれ、安倍晋三前首相が李氏に寄せた「温かい笑顔と力強い握手、台湾への揺るぎない愛情と使命感、日本に寄せる温かい期待の言葉を、今も忘れることはありません」とする追悼メッセージが紹介された。
安倍氏は李氏について、「日本と台湾の親善関係、友好増進のために多大な御貢献をされた」とした上で、「台湾に自由と民主主義、人権、そして普遍的な価値をもたらすとともに、現在に至る日台関係の礎を築いてこられました」と振り返り、故人をしのんだ。
安倍氏は昨年9月、李氏の告別式の際にも、「千の風」となって日本と台湾の私たちを優しく見守ってほしいとするメッセージを寄せている。
(温貴香/編集:齊藤啓介)
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