万人ほどの小国との断交を発表した。サントメ・プリンシペから求められた財務支援を台湾が拒ん
だため、21日未明に断交を伝えられたという。
現在の中華民国は虚構の上に成り立つ国だ。今でも憲法上はモンゴル共和国さえその領土とし、
全中国を代表するという建前を崩していない。
林建良氏がこの虚構を嗤い、本日のメルマガ「台湾の声」で「慶祝」と謳って下記のように指摘
した。
「台湾にとってこのような虚構の上に結んだ外交関係はむしろ自ら中国の一部と認め、独立国家で
はないと国際社会に認めさせているものだ。
当然のことだが、残り21か国との外交関係を速やかに清算し、『台湾が中国の合法政権である』
という虚構を一日も早く捨てなければ、台湾は主権独立国家として歩みだすことはできない。
中国よ、お願いだから残りの21か国も速やかに奪ってください。」
21ヵ国との国交がすべて途切れたら、中華民国は消滅する。残るのは、台湾という領土とそこに
住む台湾の人々だ。林建良氏の指摘は中華民国の本質を衝く。残り21ヵ国との国交が断たれたとき
こそ、本当の台湾に生まれ変わる。
ただし、中国が台湾から金門・馬祖を敢えて奪わなかったように、狡猾な中国が断交策を徹底す
るとは考えにくいのも事実で、今回もまた「圧力」と映じるように仕掛けたのだろう。
台湾にとって、サントメ・プリンシペとの断交より、台北市と高雄市という台湾を代表する2つ
の教育局が東京都教育委員会と締結した「教育交流に関する覚書」の方がより重大な出来事と思わ
れる。
外交部:サントメ・プリンシペとの外交を終結
【台湾国際放送:2016年12月21日】
外交部が、サントメ・プリンシペとの外交関係終結を発表、中華民国は金銭外交をしないと強調
した。外交部の李大維・部長は21日午前、外交部で記者会見を行い、アフリカ西部の国交樹立国、
サントメ・プリンシペと21日付で外交関係を終結するとして、現地駐在の大使館や現地に派遣され
ていた技術協力団の撤退、双方が推進してきた全ての協力計画の打ち切りを発表した。
李・外交部長は、「サントメ・プリンシペ政府は、深刻な財政難に陥っている。中華民国はその
ニーズを十分満足させることができないため、サントメ・プリンシペ政府は20年近い友好関係を顧
みず、台湾海峡両岸を天秤にかけた」と、外交関係終結の経緯を説明、「これは非常に危険な、賭
博的な行為だ」と批判した。
李・部長はまた、サントメ・プリンシペ政府のこうした軽率かつ友好的でない決定、行為につい
て深い遺憾の意を表すると共に、強く抗議した。
サントメ・プリンシペ政府が、中華民国政府に対し、台湾元64億元(約日本円235億円)の援助を
求めてきたと伝えられている。これについて、李・外交部長は、具体的な金額について明言を避け
たが、人口15万人の国家からの要求額としては「天文学的数字」であったことを認め、同国の財政
問題は台湾の責任ではないと強調した。
李・外交部長はさらに、「我々は現在、堅実な外交政策を推進しており、金銭外交は行わない。
サントメ・プリンシペの国民の生活を改善するための計画はサポートしていきたいが、財政面の補
填などは、中華民国台湾の責任ではない。今後もこうしたサポートをしない方針だ」と説明した。
一方、総統府は21日、サントメ・プリンシペとの外交関係終結について、5つの声明を発表し
た。この5項目の声明とは次の通り。
一、サントメ・プリンシペが中華民国と外交関係を終結したことを非常に遺憾に思う。
二、中華民国は各分野で友好国をサポートすることができ、最大の努力で友好国に協力する用意が
あるが、金銭外交は行わない。
三、中国大陸がサントメ・プリンシペが財政難に苦しんでいる中、いわゆる「一つの中国」の原則
を持ち出したことを非常に遺憾に思う。このようなやり方は台湾の人々の感情を傷つけ、両岸
関係の安定を破壊するのみならず、両岸関係の長期的な発展にも無益だ。
四、どの政党が中華民国台湾の政権与党になろうとも、その対中国大陸政策や立場にかかわらず、
いずれも外部からの挑戦に直面している。これは国民と与野党が共に直視すべき事実だ。両岸
間の課題は政策上の相違点にあるのではなく、国民が一致団結してこうした試練に向き合うこ
とができるかどうかにあるのだ。
五、各種の困難と挑戦について政府は今後も慎重に対応していく。国家の利益と国民の福祉増進の
ために努力していく。
なお、サントメ・プリンシペ国内にいる台湾の医療団のメンバー7名は全員無事が確認されてい
る。外交部は撤退のサポートを行うという。サントメ・プリンシペとの外交関係終結により、中華
民国のアフリカにおける国交樹立国は、ブルキナ・ファソとスワジランドの2カ国となった。