(AIIB)への台湾加盟について、習近平・国家主席は何度も歓迎すると表明していたものの、中国
による実質的な加盟拒絶により、台湾が加盟を断念した。
理由は簡単だ。香港と同じように、中国の財政部を通じて加盟申請しなければならないとAII
B総裁が発表したことによる。つまり、中国は台湾を主権国家と認めなかったからだ。下記に産経
新聞の記事を紹介したい。
案の定というべき中国の台湾拒否となった。だが、AIIBには未だ日本もアメリカも加盟して
いない。なぜなら、AIIB構想と同時に発表した「一帯一路構想」は言うまでもなく、AIIB
構想と表裏一体を為す。パキスタンや中央アジアばかりでなく、東南アジア諸国をも政治的・経済
的な勢力圏内に収めようというのが中国の思惑と考えているからだろう。
ましてや、日本やアメリカは1966年に発足したアジア開発銀行(ADB)の出資比率1位と2位の
国であり、安倍晋三首相は昨年5月21日、東京で開催された「アジアの未来」の晩餐会で、今後5年
間で13兆円をアジア開発銀行と連携するかたちでアジアのインフラ建設に投じると表明している。
台湾はアジア開発銀行の創設メンバーだ。中国の実質的な加盟拒絶は、台湾が日米とともに歩む
道を指示してくれたとも言える。
【アジアインフラ銀】台湾が加盟見送り
加盟は中国財務省を通じて行う必要あるとの見解で決裂 「条件受け入れられない」
【産経新聞:2016年4月12日】
【台北=田中靖人】台湾の張盛和財政部長(財務相に相当)は12日、中国が主導して設立したア
ジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟問題で、AIIB側が示している条件を「受け入れら
れない」として、加盟交渉が事実上、決裂したことを明らかにした。
複数の台湾メディアの取材に答えた。
報道によると、AIIBの金立群総裁は7日に香港で講演。香港の加盟申請は中国財務省を通じ
て行う必要があるとし、「台湾の状況も同じだ」と述べた。
AIIB設立協定の第3条3項は、申請者が主権国家でない場合、「その国際関係に責任を負う加
盟国」が同意するか、申請手続きを代行する必要があると定めている。中国政府は台湾を「中国の
一部」とみなしており、元中国財務次官の金総裁の発言は、この原則を“代弁”するものだ。
台湾側は昨年3 月、創設メンバーとしての加盟を申請したが、中国側が拒否。馬英九総統はその
後も「尊厳と平等」を条件に加盟を求めるとし、中国の習近平国家主席は同11月の中台首脳会談で
「適当な方法」での台湾の加盟に言及した。だが、AIIB側は、再申請の必要があるかどうかな
どの問い合わせに一切回答していないという。
一連の対応を受け、張氏は、再申請はしないと明言。加盟問題は「新政権が決めるべきだ」とも
述べたが、5月に発足する民主進歩党政権がAIIB側の条件を受け入れる可能性は低いとみられ
る。