中国の1500発のミサイルに対応。ジェット戦闘機も自主開発へ
【宮崎正弘の国際ニュース・早読み:平成29年(2017)3月30日 通算第5246号】
さきに台湾は潜水艦の自主建造を決定し、発表した。完成目標は10年後である。敵である中国は
沿岸地域に台湾を標準としたミサイル「東風16」を主力におよそ1500基を配備している。
DF(東風)21というミサイルは対艦攻撃用で、これも台湾向けに配備している。また中国海軍
の拡充ピッチが想像以上に迅速であり、かつ空母「遼寧」を東シナ海から西太平洋へ繰り出し、台
湾をぐるりと一周させて威嚇し、海南島へ向かった。
さらに東風16の改良型ミサイルは射程が1000キロ、日本の南方地域とフィリピンの一部の射程に
入る。くわえて中国海軍は2隻目の新造空母「山東」を急ピッチで就航させようとしている状況が
偵察衛星の写真からも判断されている。
米国は台湾への武器供与を発表したが、中国の軍事力に明確に対応できる武器システムとは言え
ず、また台湾が熱望した潜水艦供与をトランプ政権さえ、躊躇った。
このため蔡英文総統は、潜水艦に加えてPAC3などミサイル防御システムの充実、地対艦、空
中早期警戒域、武装ヘリ、あまつさえ1500キロ射程のミサイル導入などを検討している。
台湾の憑世寛・国防部長は現在27万人という兵力の人的不足もさりながら、装備ではジェット戦
闘機の拡充、戦艦の建造にくわえ、サイバー部隊の強化を急ぐとした。同時に国防費は現行のGD
P比2%から3%に増強する必要があると議会の承認を迫った。
それが達成されても台湾の国防費は中国の15分の1、兵力は10の1である。
3月27日に、馮世寛・国防部長が軍の式典で講演し、「敵の脅威が日に日に拡大している。われ
われは常に戦闘への警戒を維持する必要がある」と述べ、戦闘員の訓練を強化すべきとした。
台湾は国防軍を志願制に切り替え、21万5000名の定員とする計画が示されてきたが、実地が遅
れ、完全志願制は2018年以降にもつれ込む。ただし予備役は165万人がいる。
2012年から16年の5年間で、台湾は総額28億ドルの武器、兵器システムを外国から輸入したが、
これは中国、豪州、ベトナム、韓国、インドネシアに次いで6番目だった。