統一地方選挙の投開票が行われた11月24日、10項目の公民投票が同時に実施され、た。「公民投票法」では、有権者(1975万7067人)の4分の1(493万9267人)が賛成すれば成立すると定めており、10項目中7項目が成立した。
その中に、脱原発反対派が条文廃止の賛否を問う下記の項目があり、有権者の4分の1以上が賛成して成立した。
◆「電業法(日本の「電気事業法」に相当)」の第95条第1項「台湾にある原子力発電所は2025年 までにすべての運転を停止しなければならない」の条文を削除することに同意するか否か。(提 案:核能流言終結者 黄士修)
賛成:589万5560票 反対:401万4215票 無効: 92万2960票
当時、「『原子力発電設備を2025年までに全て停止する』と定めた電気事業法の条文は11月30日の公告から3日後に廃止される見通し」(中央通信社)と報じられ、5月7日には「脱原発期限を『2025年まで』と定めた電気事業法の条文を削除する改正案が立法院院会(国会本会議)で可決された」という。
蔡英文政権は、重要問題には民意を直接的に反映させようという意図から、それまでハードルが高いと指摘された公民投票法を2017年12月に改正し、要件を大幅に緩和した。
ところが、民進党政権が法改正して「原子力発電設備の運転を2025年までに全て停止する」との条文を盛り込んだにもかかわらず、公民投票でひっくり返されたのだ。
代議制民主主義を補い、民意をより大きく反映させたいとした蔡英文政権および民進党の考えが、民進党の核心的な主張だった「2025年までの脱原発」に関して民意で否定されたのである。
この公民投票では、周知のように、福島など5県の「農産品と食品の輸入の開放を禁止することを政府が維持すること」も成立した。
蔡英文政権は民意にゆだねすぎるのではないかという疑問が消えず、どうにも釈然としない。蔡英文総統に対してはこれまでも、批判を恐れるあまり決断ができない、指導力に欠けるという指摘は少なくなく、「決められない政治家」ではないかという批判がある。
11月の公民投票では、政治判断を民意にゆだねすぎるのではないかという点とともに、公民投票の対象から「憲法改正と両岸関係」は除外されているが、さらに対象から除外されるべきテーマがあることも浮かび上がってきたようだ。
—————————————————————————————–「25年までの脱原発」条文を削除=立法院が可決 国民投票結果受け【中央通信社:2019年5月7日】
(台北 7日 中央社)脱原発期限を「2025年まで」と定めた電気事業法の条文を削除する改正案が7日、立法院院会(国会本会議)で可決された。同条文を巡っては、昨年11月の国民投票で廃止を求める案が賛成多数で可決され、同12月に失効していた。
脱原発を目指す民進党政権は2017年の法改正で、「原子力発電設備の運転を2025年までに全て停止する」との条文を盛り込んだ。だが昨年、脱原発反対派が条文廃止の賛否を問う国民投票を発議。投票結果は賛成が約586万票となり、反対の約401万票を上回った。
(陳俊華/編集:名切千絵)