供が案内所に届けたなどという心温まる佳話や美談が少なくない。カバンを届けた子供は
「忘れ物をして困っているだろうなと思い、家でもそう教えられているから」と話してい
たそうだ。
今回は八田與一の兄のお孫さんのケース。台湾では日本語の「運ちゃん」が台湾語とし
て定着し、今でも「ウンチャン」で通じることも伝えている。
八田技師の親族、財布を届けてくれたタクシー運転手に大感謝=台湾
【中央通信社:2013年5月22日】
(台北 22日 中央社)日本統治時代に台湾の治水に尽力した八田與一技師の親族から先
日、台南市長あてに手紙が届いた。今月来台した際にタクシーに財布を忘れ、それをわざ
わざ届けてくれた台南のタクシー運転手へのお礼状で、感謝の気持ちが丁寧につづられて
いた。
八田技師の兄の孫にあたる八田守さんは、毎年行われている八田技師の追悼式に参加す
るため8日に台南を訪問。翌日、帰国を急ぎホテルからタクシーで台湾高速鉄道の台南駅に
向かったが、車内に財布を置き忘れてしまった。搭乗時間が迫る中、高鉄チケットを買う
こともできず途方に暮れ、駅警察などに相談したところ、なんと財布はすでに駅に届けら
れていた。
お礼をしようにも運転手の名前もわからず、台南で乗ったタクシーだったことから、守
さんは帰国後すぐにお礼の手紙をしたため、台南市の慈善団体への寄付金2万円を同封して
頼市長あてに送った。
市では、守さんの気持ちに感謝するとともに、名も告げずに落し物を届けた運転手を捜
し出し、守さんのメッセージを必ず伝えたいとしている。
台湾の親切なタクシー運転手に驚く旅行客は多いようで、落し物を届けた運転手に謝礼
を渡そうとして拒まれた中国大陸の作家、韓寒氏が「台湾には自分たちにはない価値があ
る」と絶賛したことも。日本語から派生した台湾語「ウンチャン」の愛称で親しまれる台
湾のタクシードライバーは、民間外交の重要な立役者として今日も笑顔で街中を走っている。
(編集:荘麗玲、高野華恵)