なんと今度は5月1日、1940年から国交を持つドミニカ共和国が中華民国と断交し中国と国交を結んだという。これで中華民国は2001年からこれまで計13ヵ国との断交を余儀なくされたという。
昨日も書いたように、中国すなわち中華人民共和国が中華民国の承継国と名乗り、国連などがこの中華人民共和国の主張を容認している限り、中華民国を名乗っているいまの台湾が中国からの圧力にさらされ続けることは目に見えている。
中央通信社によれば、時代力量の林昶佐・立法委員は「国際機関で台湾への支持を呼び掛けるのは、米国やカナダ、日本など台湾と外交関係を持たない国が多いことを指摘。国交締結国の数にこだわるよりも、こうした友好国や潜在的な友好国との関係強化に力を入れるべきだと主張した」という。
ただし、米国は中華民国を守らない。米国が「防御的な性格の兵器を台湾に供給する」ことで守ろうとしているのは台湾(Taiwan)および台湾人民(the people on Taiwan)だ。そのことは「台湾関係法」に明示している。台湾の将来は台湾の人々が決めていく以外に道はない。
————————————————————————————-ドミニカ共和国、台湾と断交し中国と国交 習氏が蔡氏に圧力強化【日本経済新聞:2018年5月1日】
【台北=伊原健作、北京=永井央紀】中国外務省は1日、カリブ海のドミニカ共和国が台湾と断交し、中国と国交を樹立したと発表した。独立志向の民進党・蔡英文政権が2016年に発足して以降、台湾が断交に追い込まれたのは3カ国目。トランプ米政権と接近する蔡政権に対し、習近平(シー・ジンピン)指導部が外交圧力を一段と強めている。
中国の王毅外相とドミニカのバルガス外相が北京で国交樹立の共同文書に署名した。文書には「ドミニカは中国が唯一の合法的な政府で、台湾は中国の不可分な一部だと承認する」との文言が盛り込まれた。お互いに大使を早期に派遣し、大使館設置を支援するとした。
中国外務省によるとバルガス氏は「台湾との間にいかなる形式の公的関係も二度と生じない。中国とは貿易や投資、旅行などの分野で協力を強化していきたい」と述べた。王毅氏は「中国との外交関係はドミニカの発展にかつてない大きなチャンスをもたらすだろう」と経済支援を示唆。「国交樹立は中国と中南米の協力に新たな動力をもたらす」と述べた。
台湾の呉●(かねへんにりっとう)燮・外交部長(外相)は1日の記者会見で、中国が経済支援をテコに台湾の友好国を奪い取ったとの認識を示し「強烈な非難」を表明した。「(中国の)強引なやり方は台湾の人々の感情を深く傷つけている」とも語った。
ドミニカとの断交によって、台湾が外交関係を持つ国は19カ国と過去最少を更新した。このなかでは1千万人の人口を持ち比較的豊かなドミニカの方針転換は、残る国々にも影響を及ぼす可能性がある。すでに中国は司教任命権をめぐって対立してきたバチカンとも和解交渉を進めている最中だ。中国共産党で台湾政策に携わる有力者は「中国と外交関係を結ぶ流れは世界的な潮流であり、今後も続く」と明言。蔡政権で始まった「断交ドミノ」は止まる気配がない。
中国は蔡氏に対して総統就任前から、中国大陸と台湾が一つの国に属するという「一つの中国」原則を受け入れるよう求めてきた。拒否し続ける蔡氏に対して不満を募らせていたところへ、2017年に発足したトランプ米政権が台湾との接近をちらつかせた。中国が台湾と国交を結ぶ国に断交を迫り、外交圧力を強めるゆえんだ。
特に米国で3月、台湾とのあらゆるレベルの高官の往来を促進する「台湾旅行法」が成立したことに、中国は猛反発している。中国が認めない台湾との政府間交流を法律で裏付けたからだ。
中国は4月中旬には台湾海峡で3年ぶりの実弾演習を実施。台湾周辺では中国軍の爆撃機が連日のように飛行を繰り返す。蔡政権への圧力だけでなく、貿易摩擦が熱を帯びるトランプ米政権に対して台湾問題を交渉カードとしないよう警告する狙いがうかがえる。