人形劇ポテヒの陳錫煌氏が最高栄誉の「行政院文化賞」を受賞

 台湾の伝統である人形劇ポテヒ(布袋戯)は台湾の寺廟や街角で上演され、子供たちに大人気だ。8月20日、その人形遣いである陳錫煌氏が、台湾の文化界で最高栄誉とされる「行政院文化賞」を受賞したという。

 陳錫煌氏はすでに人間国宝の称号を得ている。日本では重要無形文化財の保持者の通称を「人間国宝」といい、重要無形文化財保持者から文化勲章の受章者も出ているから、台湾の行政院文化賞は日本の文化勲章にあたるようだ。

 布袋戯の人形遣いで人間国宝だった李天禄を父とする陳錫煌氏は、12歳から布袋戯の人形遣いとして芸を磨き、親子でありながらも師弟でもあることなどの葛藤を経て、父と同じ人間国宝となり、これまで世界30カ国以上から招かれて公演、86歳の今も多くの人々を魅了しているという。

 下記に紹介する中央通信社の記事にも出てくるように「台湾では2018年、日本では昨年、陳さんに10年間密着したドキュメンタリー映画『台湾、街かどの人形劇』(中国語原題:紅盒子)が公開」され、現在はDVDとして発売されている。本会でも取り扱っている。陳錫煌氏の求道者のような人間的な深みに、思わず知らず惹き込まれて魅入ってしまう力作だ。

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—————————————————————————————–台湾伝統人形劇の人間国宝、文化界の最高栄誉賞を受賞 「観客に感謝」【中央通信社:2020年8月21日】https://japan.cna.com.tw/news/asoc/202008210009.aspx

 (台北中央社)伝統人形劇ポテヒ(布袋戯)の人形遣い、陳錫煌さん(89)が、台湾の文化界で最高栄誉とされる行政院文化賞を受賞した。台北市内で20日、授賞式が行われ、あいさつに臨んだ陳さんは「見る人がいなければ伝統は消えてしまう」と強調し、ポテヒを見に来てくれる人々に感謝した。

 日本統治時代の1931(昭和6)年、ポテヒの巨匠、李天禄さんの長男として生まれた陳さん。独自の人形操作技術を磨き上げたほか、人形や道具の制作にもたけ、伝統芸能と伝統工芸の両分野で人間国宝の称号を獲得している。ポテヒ文化が下火になることを危惧して2008年に後進の育成を目的とした劇団を立ち上げ、今も現役で活躍している。

 陳さんによれば、ポテヒのセリフは文語が多く、「今どきの子どもは聞いても分からない」。それでも愛好者は一定数おり、とくに海外公演では低年齢層に人気が高いという。陳さんは、ポテヒを学ぶ意欲があれば国籍を問わず喜んで伝授すると話し、文化伝承に取り組み続ける意欲をアピールした。

 台湾では2018年、日本では昨年、陳さんに10年間密着したドキュメンタリー映画「台湾、街かどの人形劇」(中国語原題:紅盒子)が公開された。同作を手掛けたヤン・リージョウ(楊力州)監督は、陳さんが舞台や日常で使う台湾語が、自分を含めた多くの人にとっては理解しにくいと明かし、このことによって文化と言語の結び付きに気付かされたと語っている。

 行政院文化賞は今年で39回目。これまでに83人の文化人が受賞しており、今回は陳さんと打楽器奏者、朱宗慶さんの2人が選出された。

(鄭景?/編集:塚越西穂)

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