の同号で、ジャーナリストの井上和彦氏がNHK「JAPANデビュー」問題について執
筆している。「相次ぐ訴訟に隠蔽工作文書まで流出─「JAPANデビュー」問題の収拾
困難」というタイトルで、「JAPANデビュー」のチーフ・プロデューサーとディレク
ターによる隠蔽工作を暴露している。
隠蔽工作とは何かというと、すでに産経新聞(10月6日付)でも報道されているが、訪
台したチーフ・プロデューサーとディレクターがあの番組に出演した柯徳三氏らに抗議の
撤回をお願いしていたことだ。
井上氏は氏名を明かしていないが、訪台したのは、田辺雅泰チーフ・プロデューサーと
濱崎憲一ディレクターで、NHKは6月17日にホームページで公表した「説明」で「NH
Kが柯徳三さんや蒋松輝さんから抗議を受けていることはありません」と断言していたに
もかかわらず、その舌の根も乾かない直後の6月22日に柯徳三氏らに抗議の撤回をお願い
していたのだ。だから「隠蔽工作」という。
井上氏は、この「隠蔽工作」で柯徳三氏は泣き脅しに同情して、NHKが用意した文書
にサインしたと述べつつ、柯徳三氏と同席していた藍昭光氏は「チーフ・プロデューサー
が手書きして署名を迫った」もののサインしなかったことを伝えている。張俊彦氏も面会
の申し入れを断ったという。
だがNHKは姑息にも、7月22日に公表した「説明・追加」では「6月17日以降に『台湾
・友愛グループ』など台湾の方たちから、抗議の文書を受け取りました」と書いて、藍昭
光氏や張俊彦氏などの番組出演者から抗議が来ていることを「など」という表現でぼやか
しているのだ。出演者は著作権者であり、NHKとしては放送法の手前、何としても出演
者から抗議が来ていることを隠し通したいのがありありと伝わって来る。
井上氏はまた、もう一つの「隠蔽工作」として、パイワン族の高士村(クスクス村)に
NHK職員を名乗る台湾人が来訪したことも記している。
藍昭光氏に迫った手書き文書の全文も公表しているこの井上レポートは、高許月妹さん
の「取材趣旨の説明はなかった」という発言を伝えた朝日新聞(9月16日付)、隠蔽工作
を明らかにして、NHKから「問題を不問に付すような要求や要請を行ったことはない」
という言質を取った産経新聞(10月6日付)とともに関係者必読のレポートだ。まさにN
HKは「相次ぐ訴訟に隠蔽工作文書まで流出」し「収拾困難」に陥った。 (編集部)
■朝日新聞(9月16日付)
台湾で広がる困惑 日本の植民地統治を批判 NHK番組
http://www.melma.com/backnumber_100557_4612537/
■産経新聞(10月6日付)
NHKの台湾偏向報道 抗議者に「不問」求める 訪台の番組関係者ら
http://www.melma.com/backnumber_100557_4631061/
■「SAPIO」(11月11日大増ページ紅葉特大号、定価:500円)
http://www.zassi.net/mag_index.php?id=55