【中央通信社:2013年3月20日】
(新北 20日 中央社)古くは金鉱の町として栄え、現在は観光地として有名な、北部・
新北市瑞芳区・九份山頂近くにある欽賢中学の桜の花が先週満開を迎えた。地元では
昭和天皇ゆかりの桜として長年大切にされている。台湾紙・中国時報が伝えた。
今年92歳になる元台北県(現・新北市)県長の蘇清波さんは46年前、当時台湾で進めら
れていた九年一貫教育(=1968年、義務教育を9年に延長)について台陽鉱業会長の顔欽賢
氏に相談。顔氏は子供たちが山がちな地元でも近くの中学校に通えるようにと、8000坪(2
万6000平方メートル余り)の土地を寄付した。これに感謝を表すため、同中学では顔氏の
名前「欽賢」を学校名としている。
この時、戦前、顔氏と同窓生だった日本の昭和天皇がこのことを知り、桜の木を台湾に
贈ることにされた。陛下ははじめ数十本のソメイヨシノを贈るつもりだったが、その淡い
香りが「情欲」を刺激するとも言われ、気が散って学業に専念できないのはよくないとの
ご懸念から、ソメイヨシノの代わりに香りのしない在来種が贈られることになったとい
う。顔氏は贈られた桜のうち2株を校舎前中央に、その他を校庭周辺に植えた。
同中学で学校の沿革が語られる時、今でも決まって出てくるのがこの桜の由来につい
て。「日本の天皇陛下のお気持ちを裏切ることのないよう」、しっかり勉強してほしいと
同校の先生方は生徒らを励まし、また桜の木々は大切に手入れされているという。