この3人とは、グラフィックデザイナーの西田和夫氏(63歳)、フリーランスライターの小谷正昭氏(61歳)、千葉県サイクリング協会会員の中村治氏(63歳)で、この年齢は12年前のもので、当時すでに還暦を越していた方々だ。
きっかけは、趣味で通っていた「自分史の会」に鄭新雲さん(台湾中台ゴム工業社長)という台湾出身の方が入会、この会の例会を台北で開くことになったことから、小谷氏があたためていた自転車による台湾一周を提案したところ、西田氏と中村氏が賛同して実現の運びに。
しかし、長距離の自転車走を経験しているのは中村氏一人。そこで、約3ヵ月半に及ぶ事前トレーニングを行い、最後の合宿では3日間で227kmを走破して台湾一周に挑んだ。背に「我是日本人、我喜歓台湾、自行車台湾環島隊」(私達は日本人です。台湾大好きです。自転車台湾一周隊)と朱で書き込んだゼッケンを付け、自転車のハンドルには日本と台湾のミニ国旗を立て「小さな国際交流」を心掛けたという。
コースは、一青妙さんとは逆の時計回りで、台北→基隆→宜蘭→花蓮……恒春→高雄→台南→嘉義→台中→新竹→台北という台湾一周コース。
本書は約140枚の写真を掲載し、環島の様子が手に取るように伝わってくる。添えられている短い文章も歯切れがよく、リズム感がある。この中に何度も台湾の人々から助けられた話が出てくる。
「池上駅近くで若人達が“どうしましたか”と声をかけてきて」宿泊するホテルまで案内してくれたこと。「ガソリンスタンドの広場で駐輪すると若い従業員が“暑かったでしょう、水をどうぞ”とミネラルウォーターとオシボリを持ってきてくれた」「昨夜泊まった民宿の若夫婦が台東まで買物に行く途中、我々を見かけたので……と立ち寄ってくれた」など、台湾の人々の親切ぶりが随所に出てくる。
中村氏も台湾の人々の親切心にはいたく感激したようで「親切にしていただいた台湾の人々に心から感謝申し上げます」と本書の「おわりに」で記している。
一青妙さんは「環島とは台湾への郷土愛を育む、新しい台湾発見の旅で、原点回帰の行為」と記している。
では、この日本人3人による環島とは何だったのか。西田氏は「戦友のような友情を育み、単なる仲間から“友人”へと深化させる大きな切っ掛け」とつづり、中村氏は「台湾一周の旅ができたことは、出会った人々の心の豊かさと行動力の賜物」と記す。小谷氏は「一人でも多く台湾を自転車で走ってみたいという気持ちになってくだされば望外の喜び」と記している。
本当に素晴らしい旅だったようだ。だから、12年を経たいま出版するに至っているのだろう。本書からは台湾の美しい風景もさることながら、人々の温もりが伝わってきて、読後に爽快感があふれ出す。
そこで、中村氏は「この写真集が自転車文化向上のため、少しでも何か一つお役に立てれば」ということで、先着10名様に、お1人1冊ということで、廉価でお頒ちいただけるとのことです。
◆中村治編『台湾一周自転車の旅』をお頒ちします! *先着10名様、お1人1冊です。
・頒布価格:1冊=500円 *送料1冊:180円(郵便局のスマートレター)込み
・申込み先:メール、FAXにて中村治氏まで、1)お名前、2)ご住所、3)電話番号、4)メール アドレスをご記入の上お申し込みください。
E-mail:osa6n@jcom.zaq.ne.jp FAX:04-7154-5364
・お支払い:代金後払い:本と一緒に請求書を申込者本人に送付します。
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・書 名:台湾一周自転車の旅 写真集・編 者:中村治(写真・文:西田和夫、小谷正昭、中村治)・体 裁:A5判、並製、本文64ページ(オールカラー)・販 価:500円・発 行:2017年9月