いて、台湾では外交部が「日本の国際的な安全保障に対する参加を促進し、同時に日米同盟を強
化、深化させるもの」と支持し、台北駐日経済文化代表処の代表(大使に相当)をつとめた羅福
全・許世楷両氏も歓迎の意を表している。
李登輝元総統はすでに昨年9月に「日本の不正常な状態を正し、再生していくための第一歩」と
歓迎している。米国在台協会(AIT)台北事務所長(駐台湾米国大使に相当)をつとめたウィリ
アム・スタントン氏も「中国大陸の脅威が強まるのにつれて、日本と米国の関係が緊密になるのは
当然のこと」と歓迎している。
実は、世界の主要国のほとんども賛成している。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オー
ストラリア、ニュージーランド、フィリピン、ベトナム、マレーシア等々、挙げていけば切がな
い。
しかし、中国は「日本は戦後の平和主義を破棄した」と批判した。台湾でも、中国国民党の総統
選候補者の洪秀柱氏は「遺憾」と「憂慮」を表明した。その理由は「戦争法案」だからだそうだ。
また尖閣問題で強硬論を張る中国国民党の林郁方・立法委員も「懸念」を表明している。
洪秀柱氏も林郁方氏も、台湾と中国の統一推進派。はからずも、この安保関連法案への対応は日
本観を示す「踏絵」となったようだ。分かりやすくていい。
ちなみに、中国の習近平・国家主席は米国から国賓待遇で招かれ、本日(9月22日)から出発
し、25日にオバマ大統領と会談すると伝えられている。訪米以前に安保関連法案が成立したこと
で、習・オバマ会談に少なからぬ影響を与えることになるだろう。
安倍総理がこの会談をも見越して安保関連法案の成立を期していたなら、安倍総理の戦略勝ちと
いってよいだろう。
<安保法成立>国民党の総統候補「遺憾と憂慮」/台湾
【中央通信社:2015年9月20日】
(台北 20日 中央社)来年1月に行われる総統選挙の与党・国民党候補、洪秀柱氏は19日、日本
の安全保障関連法成立について、遺憾だなどとするコメントを発表した。
洪氏は日本を「歴史に対して深い反省と懺悔や謝罪をしていない国」と表現。戦後70周年の節目
に「“戦争法案”と呼ばれる安保法が成立したのは遺憾だ」と語り、「多数の日本人とともに憂慮
している」と主張。日本が東南アジアと世界の平和に貢献することに期待すると述べ、早急に安保
法の監督制度を構築すべきだとした。
また、同党の立法委員(国会議員)林郁方氏も「日本と中国大陸間の緊張が台湾に波及する恐れ
がある」と懸念を示している。
一方、野党・民進党候補の蔡英文主席(党首)は、「地域への影響についてこれから観察が必
要」として引き続き日本の動向に注視する考えを表明。ウィリアム・スタントン元米国在台協会
(AIT)台北事務所長は、中国大陸の脅威が強まるのにつれて、日本と米国の関係が緊密になるの
は当然のことだと歓迎した。
(王承中、謝佳珍/編集:齊藤啓介)