中国の野心に対峙すべし [濱口 和久]

中国の野心に対峙すべし

              本会理事・日本文化チャンネル桜キャスター 濱口 和久

 今年四月に来日した温家宝首相は、中国の首相として初めて衆議院で国会演説を行っ
た。その際、台湾問題に触れ、「台湾問題は中国の核心的利益にかかわる。台湾独立は
絶対に容認しない。日本側には台湾問題の高度な敏感性を認識し、約束を厳守し、慎重
に対処するよう希望する」と述べた。

 中国は一九五四年以降、台湾の領有権を主張し、「台湾の軍事統一を放棄しない」と、
ことあるごとに強調しており、温首相の演説もその延長線上にあると言える。

 台湾問題(地位)は日本の安全保障に密接にかかわる問題であり、中国が台湾を軍事
統一(侵略)すれば、中国は太平洋に面した国家となり、南シナ海、バシー海峡、台湾
海峡、東シナ海という日本の海洋航路の重要な拠点を押さえることになる。

 日本にとって台湾はシーレーンの生命線であり、台湾有事は日本有事と同様なのだ。

 中国政府が公表した国防予算は一九八九年以降、十九年間連続で一〇パーセント以上
の増額を続け、二〇〇七年度の国防費は三千五百九億元(約五兆二千六百億円)となっ
ている。しかし多くの国際的な戦略研究所の推定によれば、外国製兵器の購入、兵器の
国産開発、更新などを合算すると、中国の実際的な軍事支出は中国政府が公表する二〜
三倍になるとされ、日本の防衛費(二〇〇七年度は約四兆八千億円)の二〜三倍と見ら
れている。

 中国政府は「いかなる国家に対しても軍事的脅威にならない」と強調しているが、現
在の東アジアの情勢を見た時、中国の軍事力増強が東アジア諸国にとっての脅威とはな
っても、逆に東アジア諸国の中で、中国に攻撃(侵略)を考えている国家は一つもない
はずである。

 二〇〇六年六月にシンガポールで行われた国際会議に於いて、米国のラムズフェルド
国防長官(当時)は「どの国からも脅威がないにもかかわらず、中国が兵器購入を増加
する動機は何か?」と発言しているが、中国は依然としてこの問いに答えていない。

 中国は一九九二年二月に「領海法」という国内法を制定し、尖閣諸島や台湾、東・西
・南沙諸島などを領土と規定して外国軍艦を排除する権限を軍に付与し、二〇〇五年三
月には「反国家分裂法」を制定、台湾が独立しようとする場合は非平和的手段を行使す
るとしている。

 日本に対しては既に二十四発の核弾頭ミサイル(東風21)を配備し、台湾に対しても
七百八十基以上の弾道ミサイルを配備していると言われている。

 加えて中国は、新たに開発した巡航ミサイルを百個以上、東シナ海と台湾を睨んで配
備している。

 そして、原子力潜水艦の開発を促進して七隻を保有するとともに、二〇〇八年には大
連のドッグで改装作業が進む旧ソ連製の六万トン級空母「ワリヤーグ」が一番艦として
転用され、南シナ海の海南島三亜に配備される予定だ。三亜を母港に空母戦闘群が展開
すれば、アジア諸国にとって重大な脅威となる。

 日本の防衛費は一九九七年以降、据え置かれ微減状態にある。防衛費の削減・縮小は、
このままいけば我国を危機的状況(中国による事実上の日本の属国化)に追い込むこと
になりかねない。

 日本国の独立と主権を守るためには非核三原則や専守防衛の見直し、集団的自衛権の
政府解釈の変更も含め、確固たる防衛体制を早急に整備し、台湾との間の安全保障面で
の関係構築を行う必要がある。それが結果的に東アジアの平和と安定にも繋がるのだ。

                  (機関誌『日台共栄』11月号「台湾と私」より)



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