三田裕次氏の逝去を悼む  王 明理

去る11月22日、「市井の台湾史研究者」として日台双方でその名が知られていた三田裕次(み
た・ゆうじ)氏が胆管癌のため郷里の広島で逝去された。65歳だった。これまでのご指導に心から
感謝申し上げるとともに謹んで哀悼の意を表します。

 三田氏にはかつて本誌で「三田裕次の一口コメント」を連載していただいたことがある。三田氏
から台湾関係書籍に関してのコメントを何度となく見せていただき、 そのたびに切り口の鮮やか
さと、核心をつく簡潔な表現力に驚かされ、まさに「具眼の士」ここにありという思いが募り、三
田氏にお願いした次第だった。

 三田氏は、1993年(平成5年)から日本で出版された台湾関係書籍のほぼ全てを台北の呉三連台
湾史料基金会に納本されていた。それもジャンルを問わず、すべての本に目を通した上、簡単なコ
メントを付けて送られていた。

 また、2012(平成24)年には郷里広島の広島大学図書館に「最後まで手元に残していた台湾関連
書籍」約1,400冊を一括寄贈されてもいる。

 本当に心の熱い方だった。「三田裕次の一口コメント」を掲載した折に、三田氏ご自身が書かれ
たプロフィールをご紹介するとともに、昨日のメルマガ「台湾の声」に王明理さんが追悼の記を書
かれているので併せてご紹介したい。

                  ◇  ◇  ◇

三田裕次(みた ゆうじ) 台湾史研究家。日本国広島人、昭和24年(1949年)生まれ。同45年
(1970年)、学生時代に初訪台し、その後、某日本総合商社に勤務しつつ30年以上にわたって台湾
に関与。平成5年(1993年)から日本で出版された台湾関係書籍のほぼ全てを、台北の呉三連台湾
史料基金会に納本。納本に際しては、ジャンルを問わずその全てに目を通して、簡潔を旨とする
「三田式コメント」を添付。


三田裕次氏の逝去を悼む

                                        王 明理

 台湾史研究者で台湾関連書籍収蔵家、三田裕次さんが11月に逝去された。まだ65歳の若さでいら
した。三田さんは日本と台湾の台湾関係の研究者の間では、知らない人のない特別の存在であっ
た。最近でこそ、台湾研究をする人たちが増えてきたが、三田さんはまだ日本人がほとんど台湾に
関心をもっていない時代の、パイオニアであった。

 大学時代に台湾に旅行に行ったことをきっかけに、台湾に深い関心を持つようになった三田さん
は、やがて、台湾が言論統制下にあって、台湾人は自分たちの歴史も学べない状況にあることを憂
えるようになった。そして、台湾の友人たちが来日した時に、台湾についての本を読めるように
と、私費をはたいて台湾関係の書籍を集めるようになった。生涯を通じて集めた書籍は数千冊にも
のぼる。

 大学卒業後、大手商社丸紅に就職した三田さんは、1981年から6年半の間、台湾に赴任すること
になった。その間、ますます台湾についての知識を深め、会社が休みの土曜日に、大学で日本語を
教えた。帰国後、その時の教え子や留学生たちが三田さんを慕って訪ねてくるようになり、ついに
1991年から、自宅を開放して月に一回勉強会を開くようになった。王育徳の『台湾―苦悶するその
歴史』もテキストとして使われたことで、我が家とは御縁ができた。日本の会社員が台湾人に「台
湾史」を教える私塾として、日経新聞にも紹介されたことがある。(1994年7月27日文化面)奥様
も献身的に三田さんに協力され、勉強会のあとは、留学生たちに手料理をふるまわれた。

 三田さんは、長い台湾研究のキャリアを持ちながら、常に探究心旺盛で、間違いを指摘すること
に躊躇しなかった姿勢も、立派であったと思う。

 私のことは「文学“元”少女」と言って応援して下さり、お元気な時には、毎日のようにメール
を下さった。「この本を読んでおきなさい」とか「この文章のここは間違っているから、鵜呑みに
しないように」と。最近では特に、広島の原爆ドームや台北の228紀念館の前で、ピースサインを
しながら写真に納まる人に憤慨されていた。皆が見過ごすことにもきちんと向き合う純粋な人で
あった。もっともっと色々教えて頂きたかったのに、本当にもったいなく残念に思う。

 今年の10月に亡くなられた張炎憲氏と三田さんは若い頃から親交があったが、奇しくも日本と台
湾で、同時に、重要な研究者を失ったことになる。

 数千冊にのぼる台湾関係の書籍は、三田さん自身の手で、「里子に出すような思い」で、この数
年間にほぼ寄贈を終えている。所蔵先は政治大学台湾史研究所、淡江大学図書館、広島大学などで
ある。

 三田さんは、真摯に台湾に向かいあって下さった台湾の恩人である。心から御冥福をお祈り申し
上げます。


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