産学提携と言いますと、民間企業と大学や研究所などが新しい技術や事業を開発する大規模なイメージがあり、旅館と大学という組み合わせに「確かに、なるほどな」と妙に納得し、うれしくなりました。
旅館も立派な企業です。教育機関の国内や海外の大学と提携して「国際交流の促進と町産の食材を使った新たな特産品開発など」をめざすのも産学提携です。
ただ、記事には協定を結んだ時期などについては書かれていませんでした。そこであれこれ調べてみると、旅館「神仙」のフェイスブックの4月16日の投稿記事に「台灣台中市静宜大学の唐学長をお迎えし、静宜大学と旅館神仙との産学協定調印式が滞りなく執り行われました事をここにご報告致します」とあり、これだけの短い記事ですが、産学協定は4月16日に締結されたようです。
そこに掲載されている写真4枚を見て驚きました。一番大きな写真は、旅館「神仙」の佐藤功宏社長と静宜大学の唐傳義学長が調印した協定書を広げて見せているものですが、右下の写真はなんと李登輝元総統の揮毫された「誠實自然」の大きな扁額が掲げられた前で撮った写真です。
李登輝元総統が揮毫された扁額の中でもかなり大きなものです。どうして旅館「神仙」に掲げられているのかは不明ですが、少なくとも旅館「神仙」が台湾との交流をどのように捉えているかという一端が垣間見えるようです。
静宜大学と言えば、台北駐日経済文化代表処代表をつとめた許世楷氏が教授をつとめたこともある大学で、日本語文学科もあります。
本会の日本李登輝学校台湾研修団に参加された方なら、静宜大学といえば台湾内にある和歌などの石碑を丹念に調査されている頼衍宏先生を思い出す人もいるかもしれません。
実は、東葛川柳会代表で全日本川柳協会副理事長をつとめる江畑哲男氏も李登輝学校研修団に何度か参加し、頼衍宏先生の講義をお聞きした一人。頼先生からの依頼で、この3月に静宜大学の日本文学専攻の台湾人学生52名に「日本短詩型文芸の流れと川柳」「台湾の川柳の特徴と日本の川柳」を講義してきたそうです。
このように日本との縁が深い静宜大学では、学生を日本に派遣し旅館やホテルなどでインターンとして実習させる制度があり、毎年20名ほどの定員はすぐに埋まってしまうそうです。
このたびの宮崎県高千穂町の旅館「神仙」と静宜大学の産学協定をモデルケースとして、人材不足に悩む他のホテルなどにも参考にしていただけることを大いに期待しています。
◆旅館「神仙」フェイスブック:2019年4月16日 https://www.facebook.com/ryokanshinsen/?__tn__=kC-R&eid=ARBZBjyzgYnu6K4c9BR6ICp_qoiykzKKyFgG3–fBkJX7p8TZOTaSxgj_UGT1KgaDKQZH0-AgQ9W3iQ2&hc_ref=ARSzufPZ13cVJQZRVw3kTe7zUFqvEUnOWRqc87HUSQvfTfl9fpsixiNIUKEjLMD3IoI&fref=nf
◆旅館「神仙」 〒882-1101 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1127-5 TEL:0982-72-2257 FAX:0982-72-5488 http://www.takachiho-shinsen.co.jp/
◆江畑哲男川柳BLOG:2019年3月10日「台湾での授業」 https://shinyokan.jp/senryu-blogs/tetsuo/6063/
◆江畑哲男川柳BLOG:2019年3月11日「台湾での授業(2)」 https://shinyokan.jp/senryu-blogs/tetsuo/6071/
—————————————————————————————–台湾の学生、高千穂で就業体験 おもてなし学ぶ【宮崎日日新聞:2019年5月14日】http://www.the-miyanichi.co.jp/chiiki/category_3/_38669.html
高千穂町の旅館「神仙」(佐藤功宏社長)は、国際交流の促進と町産の食材を使った新たな特産品開発などを目指し、台湾の台中市にある静宜大(唐傳義学長)と産学協定を締結した。同大学生を毎年男女1人ずつ、インターンシップで受け入れる。学生にとっては日本のおもてなしや文化を学ぶ場となり、旅館側は増加する外国人客への対応ができる人材確保につながる。