書に署名した。「サーチナ・ニュース」が伝えているので下記に紹介したい。
一般財団法人日本海事協会は、海上における人命と財産の安全確保及び海洋環境の汚染防止を使
命に、有栖川宮威仁(ありすがわのみや・たけひと)親王を初代総裁として明治32年(1899年)に
創立されている。現在の代表理事・会長は上田徳(うえだ・のぼる)氏。
同協会のホームページによれば「当会に船級登録された船舶の登録総トン数は1963年には百万ト
ンを、1966年には1千万トンを超え、2007年には1億5千万総トンに達しました。2012年5月末には
世界の船級協会で初めて2億総トンを達成」したという。
また、同協会の上田会長は昨年(2014年)10月21日、海事の道を志す国立台湾海洋大学(基隆)
の学生を奨励するため、同大の張清風学長と、総額15万台湾元(約60万円)の奨学金を6人の学生
に毎年提供する協定書に調印して奨学金を渡している。
一方、台湾は世界第2位の風力資源を持っているといわれ、世界上位20の風力発電基地のうち16
カ所が台湾に位置しているという。
東日本大震災の福島原発事故を受け、台湾では大規模なデモも行われるなど原子力発電の安全性
が不安視される中、再生可能エネルギー発電として、太陽光発電と並んで洋上風力発電に期待がか
かっていると伝えられる。
とは言っても、2012年末の台湾の再生可能エネルギー発電量は、全発電量の3.44%にすぎない。
台湾の経済部エネルギー局は今後、2020年に5.75%、2030年に10.67%に拡大することをめざして
いるという。
洋上風力発電設備の開発分野での日台提携は、恐らく初めてのことだろう。今回の日本海事協会
との提携がその推進力となることをおおいに期待し、この締結に祝意を表したい。
「洋上風力発電」で日台がタッグ・・・自然災害に「共通リスク」
【サーチナ:2015年3月16日】
日台の船級協会(解説参照)である日本海事協会と台湾の中国験船センターは10日、地震や台風
などの自然災害に強い洋上風力発電設備の開発で協力する覚書に署名した。台湾メディアの中時電
子報などが報じた。
連携の背景には日本と台湾が共に地震多発地域であり台風にもしばしば見舞われるという、洋上
風力発電設備における共通のリスクがあることだった。日本海事協会と中国験船センターはすで
に、被害調査を行ってきたが、今回の覚書で産業化に向けた専門知識の蓄積を進めることになっ
た。
日本は2014年に、福島県楢葉町沖20キロメートルに、日本初となる福島県楢葉町沖浮体式洋上風
力発電所である「ふくしま未来」を設置した。中時電子報は日本海事協会が台湾側に、これまでの
経験を伝授する考えと報じた。
中国験船センターの趙国梁董事長(理事長)は、「双方の目的は、極端な地理条件においても、
再生可能エネルギーの関連産業に、信頼できる技術による問題解決の方法を提供することだ。洋上
風力発電の開発者、発電機製造業者、保険や銀行関連は、われわれ(中国験船中心と日本海事協
会)が共同で提供する技術的情報から利益を得られることになる」と説明。
日本海事協会の上田徳会長は、日本や台湾における洋上風力発電事業の推進は共に、「熱帯性暴
風雨、地震、強烈な海流に対するチャレンジになる」と指摘。双方の提携により再生可能エネル
ギー技術の品質と安全性を向上できるとの期待を示した。
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◆解説◆
船級協会(英=Classification Society)は船舶と水運に関連する技術上の基準を定め、さら
に検査を通じて船舶や施設などが基準に合致していることを認定する機関。世界初の船級協会は英
国で1760年に設立されたロイド船級協会。日本では帝国海事協会が1899年に設立され、第二次世界
大戦後になり日本海事協会と改称された。
台湾では1951年に中国験船協会が設立され、1988年に改組されて中国験船センターとなった。中
華人民共和国は1956年、中国船級社を設立した。
日本海事協会は一般財団法人、台湾の中国験船センターは財団法人で、いずれも非営利団体だ。
(編集担当:如月隼人)