野義行・徳島県教育委員会教育長らが新竹市まで赴き、楊傳連・新竹市教育処長と教育交流協定に
調印しました。
日台の教育提携は、広島県教育委員会と桃園県教育局が昨年5月22日に結んだ教育協定に続く2例
目。心から祝意を表するとともに、台北駐日経済文化代表処の広報誌「台湾週報」が伝えています
ので下記にご紹介します。
調印式には、李宏生・新竹市副市長も立ち会ったそうです。李副市長といいますと、今年2月8日
に本会の「2015台湾・桜ツアー」で同市を訪問した際、ご夫妻で新竹公園に咲いた満開の河津桜や
台湾桜をご案内いただいたことを思い出します。
この河津桜は、2015年2月16日に故園田天光光さんが会長だった育桜会が寄贈した140本が最初
で、新竹の桜守と言われる日本語世代の方々の手厚い育て方や接木により、今では新竹公園内だけ
でも約1,000本に増えているといいます。
そもそも新竹市は日本との縁が深く、2003年(平成15年)4月21日に岡山市と姉妹都市協定を結
んでいます。当時の岡山市長は萩原誠司(はぎわら・せいじ)氏。萩原氏は岡山市長の後に衆議院
議員を経て本会理事に就き、昨年3月からは岡山県美作(みまさか)市の市長をつとめています。
岡山市と新竹市が姉妹提携したとき、それまで姉妹都市を結んでいた中国の洛陽市が「日中共同
声明に反する」といちゃもんをつけ、姉妹都市提携を一方的に凍結した騒ぎを思い出します。それ
でも萩原市長は淡々と新竹市と姉妹都市を結び、交流を深めていました。
その2年後、洛陽市から詫びを入れて来て交流を復活させていますが、この一連の騒動につい
て、萩原氏は本会の機関誌「日台共栄」第32号(平成25年8月号)に「新竹市との姉妹都市交流」
と題して寄稿しています。本会ホームページにその全文を掲載しています。
また新竹市と言えば、新竹駅と東京駅が今年2月12日に姉妹駅を提携したばかり。東京駅の開業
が1914年12月20日、新竹駅はその前年の1913年3月31日で、ともに開業から100周年を迎えたばかり
で、東京駅は辰野金吾(たつの・きんご)、新竹駅は松ヶ崎万長(まつがさき・つむなが)とい
う、日本の建築界を代表する建築家による設計という共通点を持っていたことから姉妹駅提携につ
ながりました。
新竹市は姉妹都市、河津桜、駅の姉妹提携に加え、今度は教育交流。日本との絆がまた深くなり
ました。現在の新竹市長は林智堅氏(民進党)。昨年11月末の統一地方選挙で、予想をくつがえし
て現役の許明財市長(国民党)をなんと1,014票の僅差で破って当選しています。
ところで、台湾の高校生の90%が教育旅行で選択するのが日本です。世界で一番多くの高校生が
日本を訪れています。また、すでに教育協定を結んだ広島県では台湾の高校との姉妹提携校が急増
し、県内で109校が海外と姉妹校を結んでいるそうですが、なんと台湾とは26校でトップ(平成26
年3月末現在、広島県教育委員会)。これに伴い、修学旅行先に台湾を選択する高校も急増してい
るそうです。
そもそも徳島と言えば、台湾との関係では徳島生まれの人類学者で、台湾調査を4度も成し遂げ
た鳥居龍蔵(とりい・りゅうぞう)を思い出します。しかし、徳島県教委と新竹市との交流協定の
締結は鳥居龍蔵が縁ではなく、鳴門渦潮高校と新竹市の成徳高級中学(高校)が昨年8月に姉妹校
となったことがきっかけだったそうです。今年4月には成徳高級中学の生徒が徳島を訪れて交流し
ています。
このことを知った台湾政府や新竹市が、徳島県の他の学校とも交流を深めたいと徳島県教委に協
定締結の申し出をして今回の締結に至った経緯があります。
今後、徳島県では台湾の高校や中学との姉妹校提携や台湾修学旅行が確実に増えてくるはずで
す。それは、日台の将来をになう若者が増えることに直結しています。こういう教育交流こそ日台
の礎です。
新竹市と徳島県と教育交流協定に調印
【台湾週報:2015年9月10日】
http://www.roc-taiwan.org/content.asp?mp=202&CuItem=646722
写真:右より黄冠超・教育部国際及び両岸教育司副参事、李宏生・新竹市副市長、楊傳連・新竹市
教育処長、佐野義行・徳島県教育委員会教育長
9月7日、新竹市政府と日本の徳島県教育委員会は、教育交流協定に調印した。これにより双方間
の教育、文化、スポーツ交流がより一層推進され、教育文化の発展が深まることになる。調印式に
出席した新竹市の李宏生・副市長は、今後、双方はさらに多くの学術交流の機会を持つことができ
るようになると期待の意を表した。
調印式は、徳島県教育委員会から佐野義行・教育長ら3名が出席し、台湾側からは教育部(文部
科学省に相当)国際及び両岸教育司(局)の黄冠超・副参事、李・副市長の立ち会いの下、新竹市
で行われた。協定内容は、教職員の交流研修、生徒の交換留学、研修および共同研究、教育旅行
(修学旅行)の交流協力、スポーツ交流、華語(中国語)教育と日本語教育の交流協力などが盛り
込まれている。
楊傳連・新竹市教育処長は、「新竹市は台湾の科学技術における重要都市であることから、教育
政策も科学技術化、国際化へと発展している。生徒たちが国際的な教育交流のプロセスの中で、異
なった国の文化や言葉を学び、視野を広げてほしい」と抱負を語った。