その台湾に、もう一つ世界的な評価を受け始めたものがある。チョコレートだ。11月17日、イタリアのフィレンツェで行われた国際的なチョコレート品評会「インターナショナル・チョコレート・アワード」で、金賞3個、銀賞6個、銅賞2個を獲得したという。
このチョコレートの原料となるカカオを育てているのが屏東県で、本誌でも何度か紹介している。実は、屏東県のカカオ栽培には日本人が関わっている。
それは、世界的に著名なチョコレート職人(ショコラティエ)の土屋公二氏で、屏東県の招きでカカオ畑を訪れたとき、世界全体の生産量で3〜5%しか採れないとされる希少な高級カカオ豆のクリオロ種を発見し、屏東県のチョコレート産業が発展する見込みは十分あると高く評価していた。
屏東県では15年ほど前から、檳榔(びんろう)の栽培を止め、代わりにカカオ豆の栽培に取り組む農家が増え、いまやその作付面積は約300ヘクタール、約300世帯に広がっているという。屏東はコーヒーも特産品の一つだが、作付面積は200ヘクタールで、すでにカカオ豆の方が広くなっているそうだ。
下記に紹介する中央通信社の記事は「屏東県政府はカカオを地元の有力産業と位置付け、2016年からは行政院(内閣)農業委員会とともに農業、製造業、小売業を結びつけた6次産業化を目指す産官学連携プロジェクトを推進している」と伝えている。
数年を経て、カバラン・ウィスキーと同じように、台湾チョコレートが世界的に知られるようになり、パイナップルケーキやマンゴーケーキのように台湾土産の定番となっているかもしれない。
————————————————————————————-台湾・屏東県のカカオ業者、チョコの世界大会で金3銀6銅2【中央通信社:2018年11月21日】http://japan.cna.com.tw/news/atra/201811210005.aspx
(屏東 21日 中央社)国際的なチョコレート品評会「インターナショナル・チョコレート・アワード」(ICA)の授賞式が17日、イタリア・フィレンツェで行われ、南部・屏東県のカカオ3業者が合計で金賞3個、銀賞6個、銅賞2個を獲得した。
3業者で最も多くの賞を獲得したのはカカオ農園を併設する高級リゾートで、メーカーとしてカカオ豆の生産からチョコレートの製造までを一貫して手掛ける福湾荘園。ダークチョコ部門で「台湾鉄観音茶チョコレート62%」が金、台湾紅茶や先住民の香辛料、馬告など5種のフレーバーが銀、コーヒーフレーバーが銅を取ったほか、香料不使用のプレーンダークチョコ部門で金に輝いた。一方、カカオ85%のプレーンダークチョコ部門では若手農家の曽志元氏が金、地元産カカオにこだわった邦尼チョコレート工房が銀だった。
屏東県政府はカカオを地元の有力産業と位置付け、2016年からは行政院(内閣)農業委員会とともに農業、製造業、小売業を結びつけた6次産業化を目指す産官学連携プロジェクトを推進している。ICAの地域大会誘致にも成功し、9月14日に同県で初めて開催されたアジア太平洋地域大会では、地元業者が30以上の賞に輝いた。
(郭シセン/編集:塚越西穂)