済協力協定」がいよいよ12月1日に発効するという。「台湾週報」が伝えている。
昨年3月、本会は政策提言として「台湾との自由貿易協定(FTA)を早期に締結せよ」
を発表したが、その原案を作成した通産省出身の梅原克彦(うめはら・かつひこ)国際教
養大学教授が書いているように「WTO上のルールに則った例外的な措置である二国間の
FTAを締結することには、国際法上の問題もない」のだ。
つまり、FTAやEPAは国交がなくても締結できる。要件は、自由貿易推進を主目的
とするWTO(国際貿易機関)に加盟しているどうかだ。台湾は2002年1月1日にWTOに
加盟している。これまで中国の横槍を心配する声もあったが、WTO上のルール上なんの
問題もない。
台湾はこれまで、パナマやグアテマラなど国交のある中南米の5カ国とFTAを結び、
2010年6月には中国とも実質的なFTAである「経済協力枠組み協定(ECFA)」を結ん
でいるが、国交のない国と締結するのはニュージーランドが初めてだ。無事、発効に漕ぎ
つけたことに心から祝意を表したい。
なお、台湾はすでにシンガポールと2010年12月から経済パートナー協定締結の交渉を進
め、11月7日にFTAを締結している。ニュージーランドに続く2ヵ国目だ。
また台湾は、すでにインドネシアやインドともFTA協議の前提となる研究作業を終え
ている。EUとも経済協力協定を進めている。
本誌でシンガポールとの経済パートナー協定締結を伝えたときに指摘したように、馬英
九総統はこれまで何度か、日本との経済連携協定を締結したいと表明している。
ごく最近(11月20日)も、「中華民国留日東京華僑総会」の帰国表敬訪問団一行と会見
した際に「日本とも経済協力協定への調印を希望している。……双方が関連する協定に調
印することができたならば、台日間の経済貿易の発展に大きなプラスになるであろう」
(台湾週報)と強調したという。
一方の日本側も、安倍晋三総理が先般10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首
脳会議で蕭万長・前副総統と会談した際、経済連携を強化していくことで一致したと報じ
られている。安倍総理が台湾との経済連携に踏み込んだのは初めてのことだ。いよいよ
「日台FTA」締結が視野に入ってきた感が強い。
台湾・ニュージーランド経済連携協定が2013年12月1日に発効
【台湾週報:2013年11月21日】
中華民国(台湾)とニュージーランドは2013年11月20日、わが国の常以立・駐ニュージ
ーランド代表とスティーブン・ペイトン・ニュージーランド商工弁事処代表が文書交換
し、「台湾・ニュージーランド経済協力協定」(ANZTEC)が2013年12月1日に発効すること
を確認した。双方は2014年1月1日より第1年(Year 1)減税がスタートし、両国の市場は相
互開放が進み、双方の経済・貿易協力関係が新しい段階に入る。
わが国とニュージーランドは、2013年7月10日に「台湾・ニュージーランド経済協力協
定」に調印し、同年10月29日に立法院の審査を通過した。ニュージーランドは初めてわが
国と経済協力協定に調印した「経済協力開発機構」(OECD)参加国であり、わが国が
今後その他の貿易パートナーと経済協力協定締結を推進する上でも特別な意義を持つ。外
交部は、この協定が双方にさらなる経済・貿易利益をもたらし、両国関係がより緊密にな
り、安定に寄与するものであると深く信じている。
ニュージーランドは「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)の創始メンバーおよ
び「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)の参加メンバーである。「台湾・ニュー
ジーランド経済協力協定」調印により、わが国の市場はより開放に向かっていく。これ
は、わが国が積極的に地域経済統合に向かう決意と努力を十分に示すものとなるほか、わ
が国がTPPおよびRCEPに参加するための有利な条件を創出し、さらに関係国との協
力関係強化につながるものである。
【外交部 2013年11月20日】