【祝】 九州大学と台湾教育部が「台湾スタディーズ・プロジェクト」更新覚書を締結

 九州大学が台湾の教育部と協力して取り組んでいる「台湾スタディーズ・プロジェクト」は2017年10月、台湾の学生・研究者との交流や若手研究者育成を目的として開設された。去る9月25日、久保千春・九州大学総長と陳忠正・台北駐福岡経済文化弁事処処長は3年継続の覚書を更新した。

 これまで、2017年10月1日に「台湾スタディーズ・プロジェクト」が開設されると、10月10日に台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処の戎義俊処長を招いて「九州と台湾の強固な信頼関係」というテーマで講演会を開いたのを嚆矢として、2018年1月7日と8日には、「台湾事情─台湾を知り、日本を知る」という公開講座(参加費無料)の第1回を開き、ジャーナリストで元朝日新聞台北支局長の野嶋剛(のじま・つよし)氏、ジャイアント元最高経営責任者の羅祥安氏、エッセイストの一青妙(ひとと・たえ)さんを講師に招いて開催。

 その年の12月15日と16日には、台北市在住ライターの片倉佳史(かたくら・よしふみ)氏と片倉真理さん夫妻と中央研究院近代史研究所の林泉忠副研究員を講師に招いて第2回を開いている。

 第3回は、2019年12月21日と22日、呉叡人氏(台湾・中央研究院台湾史研究所副研究員)、山崎直也氏(帝京大学教授)、上水流久彦(かみづる・ひさひこ)氏(県立広島大学准教授)、前原志保氏(九州大学台湾スタディーズ特任助教)を講師に招いて開催した。

 西日本新聞は「台湾スタディーズ・プロジェクト」の成果について「これまでに、九大の学部生や大学院生ら約10人が1週間、台湾に出向いて現地の歴史や環境問題などを学ぶフィールドワークを実施。交換留学や教員の相互派遣授業、研究者の交流も活発になるなどの成果が表れているという」と伝えている。

 講師陣の人選をみると、台湾関係者にはよく知られている人が少なくない。講座のテーマも「台湾と香港のナショナリズム」(呉叡人氏)、「台湾ナショナリズムと外省人の国家認識」(上水流久彦氏)というハードなものから、「日本人にとっての台湾」(野嶋剛氏)や「わたしの台湾アイデンティティ」(一青妙さん)といった入門編に類するものまで幅広い。九州大学「台湾研究講座」の3年延長を心から祝福し、さらに活発になることを期待したい。

—————————————————————————————–九州大が台湾研究講座を3年延長 交換留学やフィールドワーク【西日本新聞:2020年10月10日】https://www.nishinippon.co.jp/item/n/653183/

写真:「台湾スタディーズ・プロジェクト」の覚書を交わす九州大の久保千春学長(当時、左)と台北駐福岡経済文化弁事処の陳忠正処長=9月25日、福岡市西区の九州大

 九州大は9月末、台湾教育部(文部科学省に相当)と協力して進めている「台湾スタディーズ・プロジェクト(台湾研究講座)」を3年間継続する覚書(MOU)を結んだ。九大と台湾の大学との交換留学や九大生たちが台湾で行うフィールドワークなどの活動は現在、新型コロナウイルスの影響を受けているが、九大側は「状況が収束し次第、さらに活発に展開したい」と意欲を見せる。

 台湾教育部から資金面などでの支援を受け台湾に関する研究・教育に取り組む同様のプロジェクトは大阪大や早稲田大にもあり、九州では九大のみ。2017年のMOU締結を機に九大は同年以降、台湾師範大など新たに3大学を含む台湾の計7大学と連携。学部レベルでの交流も拡大した。

 これまでに、九大の学部生や大学院生ら約10人が1週間、台湾に出向いて現地の歴史や環境問題などを学ぶフィールドワークを実施。交換留学や教員の相互派遣授業、研究者の交流も活発になるなどの成果が表れているという。

 講座に携わる九大大学院人間環境学研究院の前原志保特任助教は「台湾と九州の関わりといった研究も深めていければ」と話している。

(久永健志)

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