派遣などに関する協定を交わしたという。これは、大規模災害などが起きた際にお互いに医師を派
遣し合って、適切な医療支援ができるようにするための協定で、日本医師会が海外との間で結んだ
初めて協定だそうだ。心から祝意を表したい。NHKニュースが伝えているので、下記に動画とと
もにご紹介したい。
この協定の締結には、東日本大震災が教訓として生かされている。
実は、日本と台湾の双方に「外国籍の医師は医療行為を行えない」という規定があるため、東日
本大震災の折に台湾の医師が支援しようとしたが法律に阻まれて医療行為ができず、また、6月27
日に起きた「八仙水上楽園」粉塵爆発事故でも、日本側が医師らを派遣させる用意があると表明し
たものの、日本側の好意を受け入れることができなかった。
そこで、東日本大震災後、日台間に、緊急災害が発生した際には、互いに短期間の支援を行える
ようにしたいとする共通の認識が生まれた。それから日台間で協議を続け、本年3月には、正式協
定締結の全段階として、台湾路竹会とアムダ(AMDA・アジア医師連絡協議会)が協力覚書(M
OU)を締結している。
そして、6月27日の粉塵爆発事故を受け、日本医師会が台湾で発生したこの火災事故の負傷者へ
の治療に関する協力を可決、AMDAが専門の医師を台湾の治療支援に派遣する経費を補助するこ
とを決めた経緯がある。
以前、本誌でも書いたように、やはり重要なのは緊急時の対応だ。今回の医師派遣のように個別
に一つ一つ積み上げてゆく方式も有用なのだろうが、緊急時には間に合わないケースも想定でき
る。また、国交がなくても、政府規模で支援する必要が出てくるケースも想定できる。
そこで、日本は台湾から要請があればすぐ情報や支援を提供できる法整備を行う必要がある。本
会が提案している日本版・台湾関係法(日台関係基本法)は、平時もさることながら緊急時に即応
できることを盛り込んでいる。
災害時に医師を相互派遣 台湾の団体と協定
【NHKニュース:2015年 7月31日】
動画:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150731/k10010172771000.html
日本医師会は、大規模災害などが起きた際にお互いに医師を派遣し合って、適切な医療支援がで
きるよう、海外の団体との間では初めて台湾の医師の団体と協定を結びました。
日本医師会の横倉会長は30日台北を訪れ、台湾の医師でつくる2つの団体とそれぞれ緊急時の医
師の派遣などに関する協定を交わしました。
日本と台湾の関係者によりますと、4年前の東日本大震災では、台湾から医療支援の申し入れが
あったものの、受け入れ体制を巡って調整がつかなかったことなどから、実現しなかったというこ
とです。30日結ばれた協定では、日本や台湾で大規模な災害などの緊急時に、派遣された医師が、
現地の法律や医師の指示の下で最低限の医療行為を行うことができるよう、必要な手続きや体制な
どをあらかじめ定めています。
日本医師会が、海外の団体とこうした協定を結ぶのは初めてだということです。
日本と台湾の間では、先月、台湾の音楽イベントの会場で起きた火災で、台湾側の要請を受けた
日本の専門の医師が、重いやけどを負った人たちが治療を受ける病院を訪れて治療方針などについ
て助言するなど、医療支援の取り組みが始まっています。
日本医師会の石井正三常任理事は「協定によって調整する機能が出来れば、緊急時に困っている
患者に対して何かができるのではないか」と話していました。