抱腹絶倒、やがて悲しくなるロシアのアネグドート。対比的に米国のジョークはただ
ひたすらおかしいだけ。笑うのが人生だからか。
NYタイムズの漫画に北京を風刺する諧謔がでていた。
中国共産党大会初日。冒頭の挨拶に立った胡錦濤主席が挨拶している。「これから中
華株式会社の株主総会をはじめます」。
いかにもアメリカ人好みである。
ロシアの傑作でこういうのがあった。
経済運営に行き詰ったゴルバチョフ元大統領は、ある日、「天国にいるニコライ皇帝
と地獄にいるスターリンに電話をかけて、相談してみたい。この技術は日本のNTTに
依頼しよう」と提案する。やがて電話は通じるが、後日請求書がきた。
「ニコライにかけた分は100万円も取られたが、ところがスターリンとの電話代金は10円
だった。『なぜ』と聞くと、『天国にいるニコライとの回線は難しく、100万円でもやす
いくらい。で、地獄にいるスターリンが安いわけ? 国内通話ですから』」
フランスのエスプリは辛口、ユダヤ・ジョークは人生の格言をふくむものが多い。
さて、それならば中国のジョークは?
抱腹絶倒、やがて暗い憂鬱、果てしなき絶望、言いようのない悲しみに襲われる。な
んともいえない切なさ、深い悲しみと悲嘆から絞るようにでてくる怨嗟の声が中国のジ
ョークを作り上げるのだろうか。
たとえば、
農民が種を蒔いたが、ちっとも農作物は育たなかった。種が偽物だった。
絶望した農民は農薬を飲んで自殺をはかった。が、死ねなかった。農薬が偽物だった。
担ぎこまれた病院で点滴を打たれた。突然死んだ。点滴が偽物だったから。
これには最後の説に違うバージョンがあり、
生き返った農民を家族が祝い、酒を飲んだ。そしたら全員が死んだ。なぜって、言う
までもない。酒が偽物だったから。
歴史ものを次々とものにされてきた黄文雄氏の余裕芸とでも言おうか、さすが読書家
だけに、よくぞこれだけ多彩に、中国大陸に流行するジョークを集めたと感心する。読
後感はやるせないほどに暗い。
もうひとつ、個人的なことを言えば、この本は世に出して欲しくなかった。なぜ?
あまり知られると、小生の講演の枕に使えなくなるではありませんか?
■著者 黄文雄
■書名 ジョークでわかる中国の笑えない現実
■体裁 新書判、並製、288ページ
■定価 1,000円(税込)
■版元 徳間書店
http://www.tokuma.jp/book/tokumabooks/30e730fc30af308f304b308b4e2d56fd306e7b
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