【報告】 花蓮に植えられた河津桜─2012台湾・お花見ツアー

2月16日から昨20日まで「2012台湾・お花見ツアー」で台湾を訪問して参りました。参加
者は8名と少なかったものの、たいへん有意義で充実した桜ツアーとなりました。

 折りしも、彰化県の鹿港で2月6日から開かれていた「台湾ランタンフェスティバル」に
間に合い、初日に見学して参りました。

 毎年、開催県では干支をメインのランタンにしており、今年は辰年ですので龍をかたど
ったランタンでした。ランタンは、ねぶた祭りの「ねぶた」そっくりです。今年の龍のラ
ンタンはこれまでの最高の大きさという触れ込みでした。

 午後6時過ぎ、メインランタンに明かりが灯ると音楽も大きくなり、確かに盛り上がって
いたのですが、気温は12度くらいで、肌寒いという感じではなく冷えてくる寒さでした。
その上、海の近くのせいか風がものすごく、それも北風で、吹き飛ばされそうでした。メ
インランタンに明かりが灯ったのを見て、早々に帰途に着きました。

◆国立東華大学の河津桜

 翌17日は朝から電車で花蓮に向かい、郊外にある国立東華大学を目指しました。ここに
は、私どもが河津桜の苗木を寄贈している李登輝民主協会(蔡焜燦理事長)が河津桜を植
え、蔡理事長の和歌を刻んだ碑が置いてあり、また、郊外にある美侖大飯店という高級リ
ゾートホテルでは庭に河津桜の苗木を植えたということでした。

 花蓮市内のホテルに荷解きをして昼食後、国立東華大学を訪問しますと、同大学原住民
民俗学院の呉天泰院長に出迎えていただきました。呉天泰院長のご主人は何とアメリカ留
学で知り合った日本人だそうです。

 相前後して李登輝民主協会の蔡焜燦理事長、理事の李雪峰さん(台湾高座会会長)や張
粲[洪の下に金]さん(元台南市長)たちも到着。

 まだ胸の高さくらいの河津桜でしたが、ここには100本近く植えられているそうで、風に
倒されないようしっかり木で組んだ支柱に護られていました。すでに花を咲かせているも
のも少なくなく、いささか濃い目の桜色が鮮やかでした。

 蔡理事長には自ら記念碑に刻まれた和歌のご説明いただきました。これは一昨年に詠ま
れた和歌だそうです。

  蓬莱の地に根を張りし大和櫻台日友好絆はかた志

     歳次庚虎仲秋
       李登輝民主協会 理事長 蔡 焜 燦

 庚虎(かのえ・とら)は2010(平成22)年で、仲秋は旧暦の8月15日です。この年の旧暦
8月15日は新暦の9月22日でした。

 その後、東華大学内で呉天泰院長から大学について説明していただきましたが、原住民
民俗学院には台湾の全14族から学生が来ているそうです。

◆美侖大飯店の河津桜

 続いて、蔡理事長たちとゴルフコースと隣接しているという庭が売り物だという美侖大
飯店に向かいました。確かに高級感たっぷりのホテルで、ホテル玄関のまん前にある庭か
ら河津桜の苗木が植えられていました。花をつけている木が何本も見えます。

 人工の滝やプールもあるその広大な庭を見て、英語名を「PARK VIEW HOTEL」と名付けた
理由がよく分かりました。その庭をぐるりと囲むように300本の苗木が植えられていて、よ
くよく見ると玄関を入る手前にも植えられていたことに気づきました。苗木を管理してい
るホテルの方が一生懸命説明してくださいましたが、いささか自慢げに説明するのも分か
るような気がします。

 宿泊するどの部屋からも庭が見下ろせるそうで、ホテル側としてはこの河津桜を名物に
したいという意向のようです。丘になった庭の頂上にも苗木が植えられていました。その
前にはベンチもすえつけられていて、桜をバックに写真を写せるように按配されていまし
た。

 苗木は昨年秋に植えたばかりだそうですが、ホテルではすでに咲いている河津桜を写し
た絵葉書も作っていて、これからセット販売する予定だそうです。

 夜は、この美侖大飯店で李登輝民主協会主催による夕食会が開かれ、桜を通して親睦を
深めました。

◆新竹の河津桜は満開だった

 花蓮に宿泊した一行は18日、せっかく台湾の東側まで足を伸ばしたので、日本から移民
した豊田村(現・壽豊村)や日本時代に森林鉄道が通っていて、映画「トロッコ」の撮影
が行われた林田山林場なども訪れました。

 翌2月19日は帰国の日です。搭乗便は夕方発ですので、それまでの間、最初に河津桜が贈
られた新竹市を訪問しました。

 すでに機関誌「日台共栄」で詳しくお伝えしているように、台湾に河津桜の苗木が最初
に贈られたのは平成15(2003)年のことで、園田天光光(そのだ・てんこうこう)さんが
会長をつとめる育桜会(いくおうかい)が200本を贈りました。その河津桜は陽明山などと
ともに新竹市に140本贈られ、それが大きく育っています。

 平成18(2006)年からは本会と育桜会でともに寄贈し、ほぼ毎年、新竹市を訪問。事情
により育桜会は2009年から台湾への寄贈を止めていますが、本会はそれ以降も新竹との交
流を深めて参りました。今回も新竹市李登輝之友会の張震天会長らに大歓迎されました。

 最初に移植した河津桜や、新竹側が接木で増やした約700本の河津桜は新竹市動物公園の
園内やそのまわりの運動場などに植えられていて、それらが満開に咲き誇っていたことも
さることながら、それを多くの人々が観に来ていました。これにはビックリしました。

 皇居の近くにある千鳥淵は桜の季節になりますと、身動きができないほどの人が出ま
す。それとはまだ比べられませんが、ゾロゾロと桜を見ながら歩く様は、千鳥淵の光景を
彷彿とさせました。

 河津桜はすでに散って葉が出ていたものもありましたが、満開のものも少なくなく、台
湾の人々が「山桜」や「台湾桜」と呼んでいる「寒緋桜」も満開で、日本の桜と台湾の桜
が一緒に咲く光景は見事なものでした。これらの光景を見て、喜びが沸きあがるというの
か、心の底から嬉しくなって参りました。

 張震天会長が昼食会を主催され、桜を接木して増やしてきた洪日盛さんや楊根藤さんな
ども同席、本当に楽しいひと時を過ごさせていただきました。

 新竹市は今では「桜の町」ということでも台湾国内では名を馳せつつあるそうで、来年
は河津桜を贈られてから10年目の記念すべき年に当たりますので、張震天会長からは、日
本から多くの人を連れてきて、一緒に「日本の花見」をしようと提案されています。

 実は新竹市は岡山市と姉妹都市提携しています。奇しくも平成15(2003)年のことで
す。提携を進めたのは、当時の市長の萩原誠司(はぎわら・せいじ)氏でした。萩原氏は
衆議院議員を歴任して、現在は法政大学教授をつとめ、また本会理事もつとめています。
来年は萩原理事をお誘いして、大々的な桜ツアーを組みたいと考えています。

 そんな夢もふくらむ今回の「2012台湾・お花見ツアー」でした。こじんまりしていまし
たが充実した内容で、たっぷりと台湾の春を満喫して参りました。

*本会ホームページに、このレポートを今回訪問時の写真と一緒に掲載予定です。
 http://www.ritouki.jp/


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