台湾独立運動関係者が台北で本誌編集部に明かしたところによると、台湾での拡大が壁
にぶつかった林志昇集団(「台湾民政府」)が狙いを日本に向けているという。
4月に、本誌で行った林志昇集団の疑惑報道は、台湾独立建国聯盟台湾本部でも転送拡散
され、林志昇集団は4月末に米国で分裂劇を演じた。5月に日本の防衛関係OBを含む交流
団が、林志昇集団にかけられている疑惑を検討して訪台と取り消し、8月には台湾基督長老
教会が、林志昇集団と一線を画す声明を出した。こうして台湾での拡大が壁にぶつかった
林志昇集団が狙いを日本に向けているという。
林志昇がどのような人物であるか、日本の人々は情報が少ないであろうから心配である。
林志昇が、台湾独立建国聯盟の過去の名前を使って募金活動をしていた以外に、台湾独
立建国聯盟を唖然とさせたエピソードを紹介する。
民進党政権の頃、林志昇が人の紹介で台中の集会に出席した。そこで彼は、自分はイン
ターネット放送「台湾聯通網」の理事長であり、独立派ラジオ局「TNT」を買い取った
と自己紹介した。実際には「台湾聯通網」の理事長は許世楷氏であり、「TNT」を買い
取って「宝島新声」と局名を変えたのは頼茂州氏であった。ところが、その集会には許世
楷氏および頼茂州氏の娘・頼静[女閑]氏も出席していて、許世楷氏は「私は知らない間に
理事長を辞めさせられたようだ」と皮肉を言ったという。頼静[女閑]氏は現在も宝島新声
の社長を務めている。
林志昇集団は、未来の公務員の資格が得られるとして研修会を行っているが、その講師
として彭明敏、黄昭堂、羅福全の各氏が来るというふれこみであった。ところが実際に
は、会議施設はボロボロで、それらの講師は現れなかった。林志昇は受講者に対して「こ
れだから台独連盟は信用できない。講師料も振り込んだのに。」と説明したという。しか
しながら、実際には、これらの講師に対して、振込みどころか、依頼すらなかった。
林志昇はかつて「環球テレビ」(すでに閉鎖)を経営していたが、あるとき給料の遅配
が問題になった。ベテランの記者に対しては2ヶ月、若手の記者に対しては6ケ月の遅配で
あった。忠孝東路にビルを購入したために資金繰りが厳しいため、と林志昇は説明してい
たが、広告収入が入っているのに給料を払わないのはおかしいと職員が立ち上がり集団で
林志昇を包囲したところ、林志昇はやっと広告仲介会社に電話をして国内航空便で現金を
取り寄せて、オフィスを包囲した職員に給料を支払った。オフィスでの包囲に関わらなか
った職員には支払わなかった。あとから明らかになったのは、ビル購入の話はまったくの
虚偽であった。実際に同社の職員は政府に対して仲裁を要請している。
ここで、林志昇集団が天皇誕生日の一般参賀参加をどのように宣伝に使っているか紹介
しよう。
≪一般参賀活動の本質は日本国民が日本の天皇に忠誠を示すことにある。参加する民衆は
日の丸だけが持込を許される。会場秩序に責任を持つ皇宮警察は、一般参賀要項において
「迷惑を及ぼすおそれのある物を携行する者は入門をお断りします」と規定しているの
で、本来ならば台湾民政府旗の持込を禁止するはずであるが、【民政府の】訪問の栞を読
んで、交渉の末に、宮内庁から皇宮警察への通知によって台湾民政府旗の入場を許可し
た。これは明仁天皇がすでに台湾民政府の参賀参列を知っていて、台湾民政府旗を迷惑と
考えていないことを示している。台湾民政府旗は宮内庁の特別な許可により一般参賀に参
加した。これは天長節史上で初めて、日本国旗以外の旗が現れたのであり、台湾民政府が
他所のものではない(not foreign)ということを意味している。≫
このような牽強付会によって、天皇陛下の権威を利用して自らが信用に足る集団である
かのように宣伝しているのである。
彼らが、日本人から研修費を徴収するということはないかもしれないが、日本人支持者
の存在が彼らを権威付けて、独立に夢を託す台湾人に間違った選択をさせてしまわないよ
う祈るばかりである。
『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html
◆編集部註:
林志昇集団が日本進出にあたって頼りとしているのは民族派といわれる愛国者団体だ
が、ほとんどの民族派団体は天皇や靖國神社を「利用」しようとしている林志昇集団の底
意を見抜き、協力しないことを決めているという。また、林志昇集団に協力する民族派と
も一線を画すと決めているという。