日本李登輝友の会会員 島村 惠子
私は李登輝先生のことを知人にお話しするときに、先生のことを“人間世界遺産”と
紹介させていただいています。
5月30日に李登輝先生が来日されて以来、ホームページで毎日更新される旅行記を見て
いました。「後藤新平賞受賞式典」では壇上立ったまま張りのある声で一時間近く講演
されたのを拝見し「なんてお元気な方なんだろう」と感嘆したものでしたが、ただでさ
えハードな旅程なのに、行く先々で講演や歓迎会でのご挨拶もこなされる様子を刻々と
追うなかで、よもや健康を損ねられたら大変、という懸念を持っておりました。
そのような中、中尊寺が中国からの圧力で御一行を特別扱いしないことにしたと知り、
思わず抗議のメールを出しました。中尊寺は数度訪れている大好きな寺院でしたので大
変情けない思いでした。それでもあの中尊寺の長い参道を歩いて参拝されたとのこと、
先生の健脚に脱帽しました。
東京に戻られてからも、靖国神社参拝、ホテルオークラの講演、日本外国特派員協会
での会見をされ、最後まで疲れを見せなかったばかりか、私達に勇気を与えて台湾に帰
られた先生。その無私の姿の見事さ、偉大さには、本当に胸を打たれました。
『李登輝訪日・日本国へのメッセージ─2007旅と講演の全記録』には、李登輝先生の
“世界遺産の笑顔”がそこここに溢れていて、それを拝見するだけでも心が励まされる
思いです。
行く先々でお会いされた方々のメッセージには全て李登輝先生への敬愛の情が溢れて
いて、気持ちのよいものです。また、中嶋嶺雄先生がご多忙にもかかわらず新幹線の予
約から旅の手配をされたことを知りました。曾良のように李登輝先生に付き添われ、こ
の旅行を大成功に導かれた中嶋先生。一日本人として感謝の念に堪えません。
私事で恐縮ですが、主人が台独運動の方々と旧交を温めることができ、夫婦で日本李
登輝友の会に入会することにしたのも、李登輝先生のこのたびの来日がきっかけでした。
また、この夏ふと思い立って「奥の細道」(解説付き)を購入し、一日一首のペース
で読み切ることができました。恥ずかしながら、この歳で初めてでした。これも李登輝
先生の薫陶によるものと感謝しています。
李登輝先生が築かれた民主主義国家台湾と日本の共栄を心より祈念しております。