李登輝元総統が1月10日発売の月刊「Voice」2月号に、緊急寄稿として「なぜ人類は戦争を繰り
返すのか」と題する論考を寄せられたことを本誌で紹介したが、実は同日発売の月刊「SAPI
O」2月号にも寄稿されている。
月刊「SAPIO」2月号は「新春大提言特集」と銘打って「平成26年、天駆ける日本」として
「暴走韓国」として櫻井よしこさんと呉善花さんの対談、「中国問題」としてダライ・ラマ14世な
ど、13本のテーマに14名の著名人を起用しているが、「歴史」は李登輝元総統による論考「『国を
守るため』私も兄も志願兵となった 今も生きる『日本精神』がある限り日本は大丈夫だ」を掲載
している。
李元総統は、日本が台湾をどのように統治したかについて、それは教育と農業を中心に据える統
治だったとして、芝山巌学童の開設や八田與一の事跡をつづる。そして「教育によって浸透した日
本精神があったからこそ、台湾は中国文化に呑み込まれず、戦後の近代社会を確立できた」と述べる。
では、なぜ台湾に日本精神がこれほど浸透したのかと言えば「台湾人を搾取する対象の植民地の
人間としてではなく、原則的に同じ日本人として扱ったからである」と指摘する。そこに「国を守
る」という意識も生まれてきたのだとも指摘し、実兄が海軍に志願し、自らが陸軍に志願した淵源
を明らかにしている。
また、台湾と同じように日本に統治された韓国がなぜ日本に恨みの念を抱いているかについても
言及し、それは「韓国は曲がりなりにも一つの『国』であった。そのプライドを踏みにじった」か
らで、日本は「事実として認識しなければならない」と釘を刺す。
ただし、「韓国や中国は、自国の宣伝工作の一環として捏造した『歴史』を利用する。その最た
る例が『慰安婦』だ」と剔抉する。
この慰安婦の実態について、李元総統は戦時中の例を持ち出し、「台湾の東北地方には売春婦が
たくさんいたが、その多くが朝鮮人女性だった。……彼女たちはグループを作り、軍隊がいる場所
へ移動して行った。みずから望んで戦地に行ったわけで、強制などなかった」と、歴史の証人とし
てその目で見た当時のことを明かしている。
韓国についても「常に強い国に寄り添って生き延びてきた国」と本質を衝き、朴槿恵大統領が中
国に寄り添おうとしているのは「日本より中国が強いと考えているからだ」と指摘する。
その中国についても「南京大虐殺のようなホラ話を世界に広め、日本の尖閣諸島や南沙諸島や西
沙諸島の領有を主張するなど、近隣諸国との間で軋轢を生み続ける有り様で、グローバルなリー
ダーたる資格などない」と容赦なく切り捨てる。
「SAPIO」編集部が「歴史」のテーマに李元総統を起用したいと思った理由は、おのずから
明らかであろう。
現台湾総統の馬英九氏は、台湾メディアが伝えるところによると「18日に南部・屏東県に住む元
従軍慰安婦とされる女性を訪ねており、靖国神社参拝について、『隣国の慰安婦が受けた迫害など
の悲惨な歴史を少しも省みていない』、『日本政府の行為は大変遺憾だ』などと日本を非難した」
(中央通信社)という。
慰安婦の実態にも靖国神社の成り立ちにも理解が及ばないこのようなセンチメントな「歴史認
識」では、李元総統から「リーダーたる資格などない」と切り捨てられるのが落ちだろう。
歴史事実に基づいて日本を励ます李元総統の論考やインタビューが掲載された月刊「Voice」
2月号、月刊「WEDGE」2月号、そして月刊「SAPIO」2月号を味読されたい。
◆月刊「SAPIO」(定価:700円)
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・「集団的自衛権の確立と台湾」渡部昇一先生講演録(2013年3月24日)
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・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
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・「二二八記念台湾問題講演会」阮美妹先生・西村眞悟先生講演(2009年2月28日)
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