「日台共栄の夕べ」特賞の航空券で有意義な台湾観光 [中西]

内湾を訪ね高砂義勇隊慰霊碑の再建式へ参列しましたが……

 昨年12月23日に開いた「平成17年 日台共栄の夕べ」でくじ抽選会を行ったところ、青
森から参加された青森日台交流会の中西氏に台湾往復航空券が当たりました。2月になっ
て、その航空券を使い台湾を訪問された感想を送っていただきましたのでご紹介します。
日本と台湾の関係を改めて考えさせられる内容です。
 なお、青森日台交流会のブログに中西氏がその時の写真をUPしていますので、ブログ
の中の「青森日台交流会だより」をご覧ください。
http://shukuei.blog19.fc2.com/blog-category-9.html        (編集部)


 昨年末の「日台共栄の夕べ」にて特賞の中華航空殿提供「成田−台北往復航空券」を頂
いた中西です。2月中旬に早速航空券を使用して,台湾観光をして参りました。大変有意
義な台湾観光ができたこと、そして雪の壁に覆われた青森から脱出できたことに対して心
より御礼申し上げます。
 今回の旅行の目的の一つは,内湾訪問でした。共に青森日台交流会で活動をしている方
の郷里が内湾にあったためです。内湾は、新竹から内湾線(ローカル線)で1時間弱内陸
に入った場所にある、非常に自然が豊かな町です。
 最近台湾は「田舎」ブームで、週末になると沢山の観光客で賑わっているそうです。そ
のせいでしょうか、内湾駅のそばには「油羅渓」という美しい川が流れているのですが、
川辺にはレジ袋等が散乱し景観を損ねており悲しい状態になっていました。

 さて、内湾では日本語世代の台湾人の方と話をする機会に恵まれました。彼らは、同世
代の人と話す時は今なお日本語を使っています。日本統治時代を懐かしみ,今も使用され
ている日本統治時代の建築物を褒め、日本を愛してくれています。
 そして、「今年の雪は大変でしょう。」と言われた時にはさすがに驚きました。毎日N
HKを見ているから日本のニュースは全部知っているのだそうです。
 私は日本統治時代の話を聞き、彼らの考え方に驚かされた部分がありました。
「戦時中、一級品の物資は前線に送られたため、内地には二・三級品しか残っていなかっ
た。二・三級品のなかでも、例えば白砂糖は日本人で黒砂糖は台湾人、豚の赤みは日本人
で台湾人は脂身が多いところというように、日本人と台湾人の差別はもちろんあった。し
かし当時台湾は占領されていたのだから、それを恨んでもしかたがない」
 彼らは私に淡々とこう語ったのです。
 講演を聴くたびに、あるいは親日の台湾人と話すたびに「日本人は清潔だ。台湾のため
につくした」などと言っていただき、台湾が日本に『占領』されていた事実をつい忘れそ
うになります。
 頭では理解していても、『占領』していたという感覚を忘れそうになると言ったほうが
良いかもしれません。
 しかし彼らは,このような差別を受けながら今なお恨むことをせず、「占領時だからし
かたがなかった」とあっさりと語ったのです。私はこの『あっさり感』に非常に驚かされ
たのです。
 戦後台湾を占領した中国国民党がよほど非道なことを行ったおかげで、日本占領時の体
験が美化されているのかもしれません。しかし、実際に差別を経験してもなお「しかたが
なかった」と受け止め、日本を愛し続けていれくれることを感じ、このことを1人でも多
くの日本人に知ってもらいたいと思いました。

 そして、旅行のもう一つの目的は烏来の高砂義勇隊記念碑再建式への参加でした。碑は
爆布公園内にあり、振り向けば烏来の山々や白糸の滝が見える、台湾に来た日本人を是非
とも連れて行きたいと思う風光明媚な場所に建っています。
 式は和やかに進行し、全員で黙とうをささげ御霊を慰霊しました。それが2月16日で
す。
 ですから翌日帰国し内湾のお礼を友人に伝えた時、昨日行ったばかりの高砂義勇隊記念
碑が大変なことになっていると聞かされても、昨日の今日では何を言っているのか理解で
きませんでした。正式に官地を借り受けたのでもう移設騒動はないだろうと聞いていたか
らです。
 それからのことは皆様が御存じのとおり、ほとんどの慰霊碑が撤去され、上部のモニュ
メントが新しくなった大型の慰霊碑は、李登輝氏の揮毫や日本語の碑文が板で覆われた無
残な姿になっているということです。
 なぜ今回新たに作成されたモニュメントはそのままで、1992年から存在していたものは
撤去したり隠したりしなくてはならないのか、私にはまったく理解できません。
 しかし一つだけ言えるのは、このように無残な姿になってしまった記念碑を日本人に見
てもらいたいとは思えなくなったということです。
 それとも、台湾原住民の追悼のあらわれであり、日本人の誠意のあらわれであり、日台
友好の象徴であり、また烏来の観光資源にもなりえた記念碑を、中国国民党は無残な姿に
したとでも積極的にアピールすればよいのでしょうか。
 
 今回の旅行は、中国国民党の非道ぶりを肌で感じることができた、大変有意義な旅行で
した。最後に今一度御礼申し上げます。



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