野いちごが鋼になった  迫田 勝敏(ジャーナリスト)

野いちごが鋼になった  迫田 勝敏(ジャーナリスト)
【エコノタイワン:5月号】

 台湾で突如、吹き荒れたような「太陽花(ひまわり)学運(学生運動)」は立法院(国会に相
当)の議場を占拠し、「サービス貿易協定」を立法院での再審議に持ち込むなど一定の成果を上
げ、収束した。その主役は傷つきやすく壊れやすいため野草苺(いちご)と呼ばれた世代。その若
者がなぜ政権を揺るがす鋼(はがね)のような強さを持つひまわりに変身したのか。

◆計画的でなかった議場占拠

 前代未聞の議場占拠は事前に計画されたものではなかった。3月17日、立法院の委員会審議が国
民党によって一方的に打ち切られ、サービス貿易協定が院会(本会議)に送付されたのを知った学
生たちが、18日、立法院前に集まり始めた。民主を踏みにじる国民党の手法を非難する集会を開い
たが、埒が明かず、夜になって一部が突然、立法院突入を図り、議場を占拠してしまった。

 議場には本会議開催を阻止するため野党、民進党などの立法委員(議員)もいたが、「なにが起
きたか分からないうちに占拠された」と話す。占拠した学生たちもその後どうするかまで明確な計
画はなかった。「外部から何らかの形で食料などを入手するから頑張れ」と叫んでいるリーダーの
映像もあった。

 そんな素人集団にみえる学生たちが24日間も議場を占拠できたのは、市民の支援があったから
だ。占拠直後、すでに周辺には支援物資を運ぶ市民が続々と詰め掛け、警官隊も手出しをためらっ
た。3日前に決めた3月30日のデモは10万人を目標にしたが、目標をはるかに超える50万人。学生た
ちの言動に共鳴した市民がそれだけ多かった。

◆幹部は社会運動の経験者

 綿密な計画の下に実施されたわけではなかったが、行動は規律あり、統制がとれていた。それは
学生たちには十分な「経験」があったからだ。素人集団に見えた学生たちだが、幹部学生の多くは
実は数々の住民運動、社会運動を体験してきている。

 ひまわりのリーダー格の林飛帆さんは台湾大学に入学間もない2008年暮れ「野草苺(のいちご)
学運」に参加、学生運動の洗礼を受けている。この年、馬英九政権が誕生し、傾中路線が始まり、
中国と台湾の両岸トップ会談が行われた際のデモへの過剰警備に抗議して、最初は行政院(内閣に
相当)、後に中正紀念堂に学生らが約2ヶ月、座り込んだ。

 当時、台湾の学生は「傷つきやすく壊れやすい」ということで「野草苺」と呼ばれたが、座り込
みは野草苺学運と名づけられた。この時、すでにひまわり運動の萌芽がある。学生たちはネットを
フルに活用、抗議を呼びかけ、週末には南部からも学生が駆けつけた。市民たちは食糧、飲料を差
し入れ、市民からの寄付金に学生は領収書を出していた。

 以後、学生たちは社会の矛盾に正面から立ち向かい始めたのである。あまり知られていないが、
林さんは2011年2月、中国各地で中国共産党の独裁反対の声を上げた中国版ジャスミン(茉莉花)
革命に呼応した中正紀念堂のデモにも参加していた。もう一人のリーダー、陳為廷さんは2010年か
らの苗栗県大埔の強制立ち退き反対の住民運動で苗栗県の県長に靴を投げたことでも知られる。

◆野いちご以来の運動の流れ

 野草苺以後、学生たちは社会運動をリードし、あるいは主力軍となっていったのである。2012年
9月の旺旺集団によるメディア独占反対運動、昨年の軍隊での虐殺事件、そして反核運動も。議場
占拠は突然の出来事のようにも取られているが、実は野草苺以来の学生運動の大きな流れの中で生
まれた。

 だが、学生運動のテーマといえばどこの国でも「天下国家」が定番だが、なぜ台湾の学生は住民
運動のような身近な問題に目を向けたのだろうか。「今周刊」が世新大学と20〜35歳までの若者を
対象に調査した興味深いデータがある。

 「自分の未来をどう思いますか?」と聞くと、61・5%が「希望はもってない」。「あなたの人
生は両親のと比べてどうですか?」には62・9%が「両親の時代より悪い」と答えている。「今後
10年で台湾社会はどう変わると思いますか?」には64・4%が「ますます悪くなる」。

 なぜそんなに悲観的なのか。具体的な問題を複数回答で聞くと、第1は16年前と変わらない低賃
金(79・74%)、第2は一生かかっても買えないマンション価格の高騰、第3が20代は12%台という
高失業率。一言でいえば経済不振だ。

◆悲観から自分の手で光明を

 馬英九総統は中国との緊密化で台湾経済をよくすると言ってきたが、一向に好転しない。このま
まサービス貿易協定を含め中国傾斜を強めれば台湾は中国に呑み込まれてしまうという懸念もある。
そのせいか若者ほど台湾の独立志向が強いという調査もある。

 台湾の将来に希望が持てないといっても、多くの若者はこの台湾で生きてゆくしかない。ならば
自分たちの手で身近な問題から一つ一つ解決し、明日への希望を取り戻そうとサービス貿易協定問
題まで来たのである。悲観から希望へ。明日の光明を象徴する太陽花を手にしたその姿に多くの市
民が共鳴し、時代を動かす潮流となったのだ。

                              (ジャーナリスト・迫田勝敏)

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