米国が「台北駐米経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更か

米国が「台北駐米経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更か

 今年3月、蔡英文政権は米国に「台北駐米経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更することを正式に要求し、アジア政策を統括するカート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官や国務省のアジア担当者らは変更を支持、最終決定には至っていないが、バイデン大統領がサインすれば名称変更は成立すると報じられている。

 クアッド(Quad)の担当調整官でもあるカート・キャンベル氏は今年7月の講演で、米国がこれまで取り続けてきた「『一つの中国』政策」を踏襲すると述べ、台湾との関係について「強力で非公式な関係を支持しているが、独立は支持しない」と述べる一方、「『台湾は平穏な暮らしを送る権利があると確信している。国際社会で役割を果たす姿をみたい』と述べ、国際機関からの台湾排除を推進する中国を批判した」(日本経済新聞)と報じられたことはいまだ記憶に新しい。

 一方、中国は、リトアニアが今年7月に「台湾」の名義で代表処開設を認めたことに対し、主権を著しく損ねると猛反発、駐リトアニア大使召還という強行策を実施して最大限の圧力をかけ、台湾に対しても恫喝するように「独立は破滅への道だ」と圧力を加えている。

 このとき米国国務省は即座に、「報復的な措置」だとして中国を非難、「台湾との互恵的関係を発展させ、中国による威圧的な行動に抵抗する欧州の同盟国を支える」(朝日新聞)とリトアニア支持を表明している。

 リトアニアを支持した米国にとって、「台北駐米経済文化代表処」から「台湾駐米代表処」への改称は既定の路線だったようだ。この路線を明らかにするためのリトアニア支持だったと言えるようだ。

 先のカート・キャンベル氏の発言も、注意深く読めば、「台湾の平穏な暮らし」とは蔡英文政権から要求された名称を受け入れることに他ならず、この路線を明らかにするための伏線だったと思えてくる。

 台湾にある米国の駐台湾大使館に相当する名称はすでに「米国在台湾協会(AIT:American Institute in Taiwan)台北事務所」と、台湾を冠している。国務省が表明したように「台湾との互恵的関係を発展」させようとするなら、米国にある「台北駐米経済文化代表処」も当然ながら「台湾駐米代表処」と改称するのが道理だ。

 その点からも、「台北駐米経済文化代表処」から「台湾駐米代表処」への改称は既定の路線だったと言え、米国はタイミングを見計らっていたものと思える。

 いずれにしても、米国の一連の動きが中国を強く牽制したことは明らかで、蔡英文政権が大局に立って米政府に代表処の名称変更を求めた決断が奏功することになるかもしれず、外堀は埋められた。後はバイデン大統領の決断を待つのみ。バイデン大統領の決断を注視したい。

—————————————————————————————–「台北」から「台湾」、在米窓口機関の名称変更検討か…決定なら中国の猛反発必至【読売新聞:2021年9月11日】

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は10日、米国のバイデン政権が、ワシントンにある台湾の対外窓口機関「台北経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更することを検討していると報じた。実際に変更されることになれば、「一つの中国」を主張する中国の猛反発は必至だ。

 記事によると、台湾の 蔡英文ツァイインウェン 政権は今年3月、代表処の名称変更を米政府に正式に要請した。米政権でアジア外交を取り仕切るカート・キャンベル国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官は変更を支持しているが、バイデン大統領が大統領令に署名する必要があり、最終決定はされていないという。

 台湾の窓口機関の名称を巡っては、リトアニアが今年7月、「台湾」の名義で開設を認めたことに対し、中国は大使を召還するなど圧力を強めている。(ワシントン支局 蒔田一彦)

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