日台の絆−育桜会が桜一万本を寄贈【アンディ・チャン】

日台の絆−育桜会が桜一万本を寄贈【アンディ・チャン】
李登輝前総統が「かわいい日本の娘(桜)」を大事に育てていく決意を披露

 去る10月5日、桜寄贈に関する合意書の調印式が台北・国賓大飯店で行われた際、アメリ
カ在住の政治評論家、アンディ・チャン氏にお目にかかった。昨日のメールマガジン「台
湾の声」にアンディ氏の桜寄贈についての詳細なレポートが掲載されましたので、ここに
ご紹介します。
 なお、アンディ氏の記述の中で勘違いされていると思われる箇所には、編集部のコメン
トを付しました。また、アンディ氏が紹介されている李登輝前総統のスピーチ全文は、本
会の機関誌『日台共栄』12月号でご紹介する予定です。

 ちなみに、アンディ・チャン氏はメールマガジン「台湾の声」でもおなじみの方だが、
初めてお会いした。その折、日本語で書かれた新刊『台湾丸の難航』(10月1日刊)をい
ただいた。
 本書は、『台湾丸の沈没?』(前衛出版)、『ガンバレ台湾丸』(一橋出版)に続くア
ンディ・チャン評論集の第3弾で、2004年初頭から2005年4月までの間に書かれた記事の
うち、台湾関係のものを集めたものだ。3部構成で、第1部:「連宋の乱」の真相、第2
部:正名運動と制憲論壇、第3部:迷走する台湾丸からなっている。全編「台湾は中国で
はない」という観点から、独立へ向けた台湾人の決意と決起を促す内容だ。
 ただし、台湾で出版されているので日本では入手できないのが残念だ。奥付に台湾の連
絡先が記してあるのでご紹介します。
■台湾連絡所 乃文公司(卓遵天先生)02-2721-9770
                                (編集部・柚原)


【10月31日付『台湾の声』より】

日台の絆−育桜会が桜一万本を寄贈
                               アンディ・チャン

 新著『台湾丸の難航』を出版するため台湾へ行ったが、今回の旅行は本の出版のほかに
台湾独立建国聯盟・黄昭堂主席の「牽手護台湾」の925デモ行進に参加し、「台北李登輝友
の会」会長・蔡焜燦氏の知遇を得て、蔡先生のお招きにあずかって育桜会の桜一万本贈呈
式の宴会に参加することが出来た。この晩餐会で李登輝前総統及び育桜会の園田天光光理
事長、日本李登輝の会の柚原正敬事務局長その他に仕上がったばかりの『台湾丸の難航』
を贈呈する光栄に浴した。これはひとえに蔡先生のお蔭である。

 この外にも2週間の滞在だけで、いろいろ素晴らしい人との出会いがあり、これらの事
柄はいずれ報告していくつもりだが、今回は育桜会の桜一万本贈呈式のことを書いておき
たい。

●天光光女史と育桜会

 園田天光光女史は旧姓松谷、早稲田大学法学部卒業、元衆議院議員、育桜会理事長、日
中平和友好協会会長、そして元厚相、外相、官房長官を勤めた園田直(すなお)氏の夫人
である。民主党の衆議院議員園田直氏と松谷天光光議員は49年、恋愛関係になり、二人と
も議員だったため「白亜の恋」と騒がれた事もあった。園田氏のことは渡部亮次郎さんの
「頂門の一針」No.200、No.201に詳しく出ているのでここでは割愛する。

 天光光女史は世界の平和友好の手段として日本の桜の木を世界各国に贈呈して植樹のほ
かにも日本と各国の平和関係をおし広めたいという念願から育桜会を結成し、桜の木を各
国に贈呈する企画を推進してきた。

●台湾李登輝の会の要請

 このことを知った「李登輝友の会」の黄崑虎会総会長は数年前、日本に赴いて台湾に一
万本の桜を植える計画を要請した。その昔、日本がアメリカのポトマック河畔に植えた桜
が三千本だった事を考えれば一万本の桜の木はこの三倍の数量である。

 園田天光光さんの育桜会では一万本という数量に驚いたが、それよりも台湾が南国であ
るため、桜がうまく育つかという懸念もあったので、改良種を先に一千本台湾に送り、こ
れらの桜は李登輝前総統の住まい、新竹などに試験的に植えたところ、今年になってめで
たく開花、しかも南国でもあって一年に二度開花する事などがわかったので、この度の一
万本の贈呈となったのである。

(編集部注−改良種とは「河津桜」のことで、温暖な静岡県賀茂郡河津町が原産。オオシ
マザクラ系とカンヒザクラ系の自然交配種と推定されている。2003年2月、育桜会と霞会
館が苗木200本を李登輝之友会全国総会に寄贈。1年間の仮植樹期間を経て、陽明山、新竹
、桃園・大渓の3箇所に本植樹したところ、本年2月に開花。確かに今年8月くらいから
2度目の開花となっているが、春のように全ての花が咲いているわけではなく、葉が落ち
た枝にちらほら咲いている程度。ただし、繊細な桜の植生にはあまりよくないといわれて
いる。河津桜については「http://www.kawazuzakura.net/」を参照してください)

●一万本の桜を九九峰へ

 今回贈呈される桜の木は6年前に地震で被害を蒙った南投県の九九峰という場所に植え
る事に決定して、南投県の県長、農業部長、内政部長なども大賛成である。しかし、この
計画が実現したのは台湾及び日本の「李登輝の友の会」(李友会)の尽力によるもので、台
湾及び日本の李友会などが育桜会に働きかけた結果である。

 十月五日、台北のアンバッサダーホテルの12階で李登輝の会と育桜会の贈呈式(編集部
注:贈呈の調印式)が行われた。園田天光光女史は今年86歳(編集部注:1919年生まれ)
になられるが、調印の前日には台中に一泊し、当日は朝から南投県の九九峰を実地に見て
こられると言うバイタリティの持ち主であった。お年を召されているが、着物姿の姿勢も
よく、歩き振りも早くてかなりお元気に見えた。筆者がこの席上で李登輝前総統と天光光
女史のお二人に拙著を贈る機会に恵まれ、少しばかりお話を伺うことが出来たのは光栄で
ある。

●娘を嫁にやるようなもの

 挨拶にたった園田天光光女史は、桜の木を他国に贈呈するのは娘を嫁にやるようなもの
で、愛しくもあり気がかりでもある。しかし、一昨年差し上げた桜の苗木が見事に台湾に
根を張って、一年の間に二度も開花したこと、および風光明媚な九九峰の景色を見てくる
ことが出来た。
 今回は李登輝前総統、黄崑虎総会長、蔡焜燦会長などの熱意ある歓迎を受けて、私の差
し上げる桜が台湾で見事に育ち、両国間の平和友好に貢献する事ができるのを確信するに
至り、まことに安心しましたと述べた。

●日本と台湾は運命共同体

 次に挨拶に立った李登輝氏は、以下のように述べた。

 このたび日本と台湾の方々の努力で桜の木一万本の贈呈が出来たことはまことに喜ばし
い事であります。

(編集部注−桜寄贈合意書の主な内容は、育桜会は日本李登輝友の会の支援の下に2006年
1月、河津桜の苗木1,000本を寄贈し、将来的に日台が力を合わせて1万本にしようという
もの)

 われわれが住む地球では近年来、いろいろな天災が発生し、台湾では今年の七月八月に
台風の被害を受けましたが、日本でも九月に台風の被害を受けております。アメリカもカ
トリーナ台風に襲われて甚大なる被害を蒙りました。風害と水害による土石流は大自然の
山野を破壊し、見る人々に非常に深い感銘を与えます。

 人類は自然に頼らなければ生きていけません。それゆえわれわれは自然を大切にしなけ
ればならないのです。自然を護る努力は他人事ではなく、地球に住む人々すべての問題で
あります。こうして起こる環境保護運動の一環として植樹があります。

 一昨年二月に育桜会が贈ってくれた桜の木は台湾に根付いて、今年は見事に開花いたし
ました。これらの桜は既に台湾の大自然と一体になって美しい環境を作っております。桜
は寒冷な環境下にあってこそ開花するものであります。われわれは台湾人、日本人にかか
わらず、みんな同じように桜のように艱難に耐える精神を学ぶことが大切であります。

 大自然の災害だけでなく、これは世界人類の平和の問題でもあります。私はこの三十年
来、「私とは何か、われわれとは何か」という課題を深く考えてきました。それは一言で
言えば、人々が自由で平等な国、自由で平等な世界を創ることであります。これが生命の
意義であります。自然の災害を防ぐだけでなく、日本・台湾は共存共栄の意味でも生命共
同体でもあるのです。

 このたび皆さんのお陰で、六年前の地震災害にあった九九峰に桜を植える事が出来るよ
うになったのはまことに喜ばしい事であります。地震と台風のために自然が破壊されたこ
の土地は、これから日本の桜に護られて土石流を防ぐ事、中央山脈を越えて襲ってくる台
風をも防いでくれる事が出来るでしょう。

 こうして日本と台湾の双方が努力して台湾の風土を護ることができるようになったこと
は、日本と台湾が生命共同体となった事でもあり、かわいい日本の娘を嫁に貰ったわれわ
れは、みんなで桜を大事に育てていく決心であります。どうもありがとうございました。

●中国人の反李登輝デモ

 こうして桜の贈呈式は和気藹々と完了し、続いて宴会となったが、同じときにホテルの
門前では「愛国同心会」と称する中国人のグループが反日、反李登輝のデモを行っていた
のはまこと憤慨に堪えない。

 中国人は台湾に住み、台湾の自然の恩恵を受けているのも拘わらず、台湾を愛する気持
ちは寸毫もない。李登輝さんが述べたように共存共栄に合作する気はないのである。中国
人は個人のこと、自分たちのことしか考えない、生命共同体などはかけらほども持ち合わ
せていないのである。このこと自体が日本・台湾の人々に中国人の「中華思想とは何か」
を悟らせる教訓となることを祈っている。


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