北京市との友好都市協定を白紙に戻して台北市と友好都市協定を結んだプラハ市長  川口マーン惠美(作家)

北京市との友好都市協定を白紙に戻して台北市と友好都市協定を結んだプラハ市長  川口マーン惠美(作家)
すごい市長がいるものだ。まだ38歳だというが、筋が通っている。チェコ共和国の首都であるプラハ市長のズデニェク・フジブ氏のことだ。

 ドイツ在住の作家の川口マーン惠美氏が伝えるところによれば、前任のプラハ市長が北京市と結んだ友好都市協定には、第3条として、「台湾とチベットの独立に反対する」という文言が含まれていた。しかし、一国の主権に関するこのような政治的案件が、友好都市協定の条項となっているのはおかしいとして、この第3条を削除するべく中国側と交渉したが、結局、協定自体を無効とする決定に至った。今年1月13日、プラハ市は台北市と友好都市協定を結んだというのである。なんとも勇気ある行為だ。

 下記に川口マーン惠美氏のレポート全文を紹介したい。

 日本と中国でも約370件の都市間提携を結んでいる。しかし、その中で台湾の自治体と都市間提携を結んだのは岡山市や仙台市、八王子市など数ヵ所に過ぎないが、日本にも勇気ある市長など首長はいる。首都東京の知事にも、このような勇気ある知事が出現することを願いたいものだ。

—————————————————————————————–川口 マーン 惠美中国との「ズブズブの関係」をリセットする、38歳プラハ市長の闘い 民主主義と人権を守るために【現代ビジネス:2020年1月17日】https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69845

 東欧の国々が、中国の過大な投資ですっぽりと呑み込まれそうになっている事情が、最近、ドイツでもようやく報道されるようになってきた。

 しかし、肝心の東欧のどの政府も、それを真剣に修正しようと努力している風は見えない。あまりにも深く嵌りすぎて、方向転換はすでに手遅れなのだろう。

 ところが、チェコの首都プラハの市長が果敢にも、その中国に戦いを挑んでいる。

 ズデニェク・フジブ(Zdeněk Hřib)、38歳。海賊党。はっきり言って、これほどマイナーな党から、100万都市の市長が出たということ自体が稀代の出来事だ(海賊党=国民の権利の強化、著作権や特許権の改革、直接政治などを掲げて、2006年にスウェーデンでできた政党。ドイツでも一時話題になったが、今はどこも下火になっている)。

 ちなみに、フジブ氏の本業は医者。2017年からは、官と民の双方の組織で、医療の行政改革に携わっていたという。そして、2018年11月以来、プラハの市長だ。

 さて、それからほぼ1年が過ぎた昨年10月、フジブ氏は、プラハ氏が北京市と結んでいた友好都市協定を白紙に戻した。しかし、もちろん、このような行為を中国が許すはずはないし、中国寄りの政治家の顔も潰れる。

 また、チェコ人の投資家には、中国との商売で多大な利益を得ている人たちも少なくない。つまり、フジブ氏のことを快く思っていない人たちが、とくに政界、財界にはたくさんいる。

 そのフジブ氏が1月、ドイツの大手紙「Die Welt」に寄稿し、ドイツの読者にその経緯の説明を試みた。それが大変興味深かったので、この場で紹介したい。

https://www.welt.de/debatte/kommentare/article204934810/Staedtepartnerschaft-Flagge-Taiwans-soll-am-Prager-Rathaus-wehen.html

◆中国を刺激する行動に出た背景

「皆がびっくりした。その雑誌の表紙は、チェコ共和国のシンボルで、また、よく知られたアニメの主人公でもある小さなモグラが、巨大な、見るからに恐ろしいパンダに食べられてしまう絵だった」というところから氏は始める。

「おりしも2014年。まだごく少数の人しか、中国によってヨーロッパが威嚇されるかもしれないということに気づいていなかった」

「プラハは、ヨーロッパの音楽の首都の一つでもあり、我々はそれを誇りに思っている。(略)中国は、しかし、最近、前々から計画されていた4人のチェコの音楽家のツアーを、唐突にキャンセルした。それは、プラハ市が北京に対してとった政治的措置への返答だったのだ」

 説明をしよう。前任のプラハ市長が北京市と結んだ友好都市協定には、第3条として、「台湾とチベットの独立に反対する」という文言が含まれていた。中国が世界中で広めようとしている「一つの中国」理念である。

 フジブ氏は、一国の主権に関するこのような政治的案件が、友好都市協定の条項となっているのはおかしいとして、この条文の削除を選挙時の公約に入れていた。ロンドンやリガも北京と友好都市の協定を結んでいるが、そこにはこのような条項は含まれていない。

 そこで、市長になったあと、この第3条を削除するべく中国側と交渉したが、当然、埒があかなかった。そこで、結局、協定自体を無効とする決定に至ったわけだ。フジブ氏は、プラハのカレル大学の医学部を卒業した後、台湾へ留学している。おそらく台湾に対する一途な思いがあるのだろう。

 さらに、中国を刺激したのは、氏が市庁舎にチベットの旗を掲揚したことだった。氏の言い分では、1951年に中国とチベットの間で結ばれた協定では、中国はチベットの自治を認め、また、チベット人が民族のシンボルを使うことも認めている。

 ただ、氏がここまで中国を刺激する行動に出た背景には、ある決定的な理由があった。氏は、「医者として、囚人に対して行われている強制的な臓器摘出に、公の場で強く抗議」したのだ。これ以上、中国の嫌がる話はなかっただろう。

 フジブ氏はさらに書く。「中国は信頼できないビジネスパートナーだ」と。「重要な貿易協定や、約束した共同方針も、中国共産党の政治局のひと言で、一瞬のうちに紙くずになる」。しかも、「中国とチェコの経済関係は、非常に大きな不均衡の下にある」。

 また、「中国は深遠なルサンチマンに満ち満ちており、民主国家の人間を、それが政治家であろうが、芸術家であろうが、ビジネスマンであろうが、一個人としてではなく、政府の意見を反映する人間と見る(友好協定破棄という政治のため、音楽家が仕返しされたことを指している)」。

「これは共産党のメンタリティのなせる業だ。鉄のカーテンの後ろで生まれた私たちは、そのメンタリティを知りすぎるほど知っている」

◆ビロード革命の理念を守るため

 最後にフジブ氏は、「私は、中国との国交を断絶しろとか、経済関係を切れなどとは言っていない」と前置きをしながら、読者に対する進言を次のようにまとめた。

「このような信用のおけない危険なパートナーと同じベッドに入るときは、その前に2度考えるべきだ。もし、あなた方が、小さなモグラのようにパンダの腹の中で末期を迎えたいなら話は別だが」

 そして、「パートナーには、自由や民主主義といった同じ価値観を共有しているだけでなく、互いに尊敬し合える相手を探すべきだ。だから私は、これから台湾と結ぶパートナーシップや、ヴィシェグラード諸国との協力関係を楽しみにしている」と結ぶ。

 「ヴィシェグラード諸国」というのは、ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロバキアの地域グループだが、これがとにかく凄い。話は突然、14世紀まで遡る!

 ヴィシェグラードというのはハンガリーの北にあるスロバキア国境の町の名で、1335年、ここでハンガリー、ポーランド、ボヘミア(現チェコ/スロバキア)の王が会議を持った。当時の三国は中欧を広く支配し、強大な富と文化を誇る大国だった。

 フジブ氏が勉強したカレル大学は、1348年、神聖ローマ皇帝カール4世によって創立されたドイツ語圏最古の大学だ。ヴィシェグラードの名には、彼らのかつてのプライドがいぶし銀のような鈍い光を放つ。ヴィシェグラードの協働は、これからのEUにも少なからぬ影響を与えていくと思われる。

 一方、チェコでは、昨年末より新たなスキャンダルが持ち上がっている。

 チェコ最大の大富豪が経営するPPFという会社は、中国関連の事業で膨大な利益を上げているが、同社が子会社を使って、チェコ国内での中国のイメージをアップするためのキャンペーンに、莫大なお金を流していたということがすっぱ抜かれたのだ。

 PPFはすでにブルガリア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアのテレビ局を買収しており、昨年10月には、ついにチェコ最大のテレビ局TV NOVAも買収が決まった。つまり、プラハのフジブ氏が必死で中国に抵抗していても、肝心の中央政府や産業界は、どちらかというと中国と歩調を合わせている。

 さて、ついに1月13日、プラハ市は台北市と友好都市協定を結んだ。フジブ氏の寄稿の中で印象に残ったのは、「民主主義と人権を守るということが、我々のビロード革命の理念だった。それが国の指導者に踏みにじられている」という言葉。台湾への接近で、フジブ氏の政治生命は、さらに危うくなったと言えるかもしれない。それを思うと、この文章には悲壮感さえ漂う。

 東欧の小さな国の市長が、勇気を振り絞って頑張っているのに、人口も経済力も比べ物にならないほど大きな日本の政治家は、長い物に巻かれすぎていると感じる。そして、その政治家を選んだのは私たち日本国民だということを、私は今一度、思い出している。

              ◇     ◇     ◇

川口マーン惠美大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓、その鋭い批判精神が高く評価される。2013年『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』、2014年『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』(ともに講談社+α新書)がベストセラーに。『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)が、2016年、第36回エネルギーフォーラム賞の普及啓発賞受賞。その他、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)、『証言・フルトヴェングラーかカラヤンか』(新潮選書) 、『ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?』(祥伝社新書)など著書多数。最新刊は『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』(講談社+α新書)。2011年4月より、拓殖大学日本文化研究所客員教授。

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