【台湾の声:2022年7月9日】
安倍晋三元総理の突然の訃報に深い悲しみを感じ、怒りと無念さの入り混じった感情がわいてきます。
凶弾に斃れたというニュースを聞いて、いち早く日本よりも台湾の知人から数多くの心配する声が届いていました。
訃報に接して夜には「安倍総理の台湾への貢献や友情に感謝します」という書き込みがたくさん届けられました。
蔡英文総統からも追悼のメッセージが発表され、高層ビル「台北101」には「敬悼安倍首相 對台灣支持與友誼 感謝 安倍首相 ありがとう」の文字が表示されました。
信じられない出来事が現実のものとなってしまいました。
安倍元総理は国際社会の孤児である台湾にはじめて温かい目を向けてくれた人でした。
亡き李登輝総統や黄昭堂主席の謦咳に接した安倍晋三元総理は、一人の人間として台湾人の悲哀や置かれた難しい立場を理解していたのだと思います。
台湾が地政学的に重要であり、日本の安全保障上の要点であることをはっきりと捉え、アメリカや関係国を巻き込んで安全保障の枠組み作りに取り組んできたことは最も大きな業績でした。
それによって、中国に遠慮ばかりしてきた日本や国際世論の目を開かせた功績は多大なものがありました。
でもそれだけではなく、そういう政治的な面を超えた温かな台湾人に対する想いや同情を持っている方でした。
何度かお話をしたことがありますが、誰にでも優しくにこやかでユーモアがあって周りを和やかにする方でした。
総理という立場を離れて、これから却って実力を発揮されることになるはずだと期待していた矢先……御本人もどんなにか無念だったと思います。
これまでの台湾への御厚情に心から感謝し、哀悼の意を表します。
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