国交のないチェコ共和国の上院議長が8月30日から台湾を初訪問

 チェコ共和国と台湾の間に国交はない。チェコは中国と国交を結んでいることから、中国の主張する「一つの中国」原則を支持している。

 しかし、本誌でもお伝えしたように、去る1月13日、チェコ共和国の首都であるプラハ市長のズデニェク・フジブ氏(38歳)は台北市と友好都市協定を結んだ。

 これは、前任のプラハ市長が北京市と結んだ友好都市協定に「台湾とチベットの独立に反対する」という文言が含まれており、この若いプラハ市長は、一国の主権に関するこのような政治的案件が友好都市協定の条項となっているのはおかしいとして、この条項を削除すべく中国側と交渉したが、結局、折り合いがつかず協定自体を無効として解消、その一方で台北市と友好都市協定を結んだことによる。

 この直後の1月20日、2月に台湾を訪問する予定だったヤロスラフ・クベラ上院議長が心臓発作で急死するという事件が起きた。

 上院議長夫人は、クベラ議長が在プラハ中国大使館から脅迫を受けていたことを大使館の印章が押された書簡を公開することで明らかにした。この書簡には「代表者がクベラ上院議長とともに台湾を訪れるチェコ企業は、中国では歓迎されないし、中国人も歓迎しない」(AFP通信)と記されていたと報じられている。

 これには首相ら政府高官なども中国を非難していたことから、去る5月20日、チェコ上院は上院議長の台湾訪問を支持する決議案を採択するに至っている。6月9日、クベラ上院議長の後任のミロシュ・ビストルジル上院議長は、今年の8月30日から9月5日までの日程で企業関係者らとともに台湾を訪問すると記者会見で発表したという。

 チェコの憲法上、大統領に次ぐ地位の上院議長が台湾を訪問した例は過去にないそうで、画期的な訪問となりそうだ。

 国交のないチェコで上院議長が訪台するというなら、もっと台湾と関係が深い日本は衆議院議長が訪問したとて何の問題もないだろう。また、蔡英文総統を日本に招くことだって可能ではないだろうか。政治の決断にかかっている。

—————————————————————————————–チェコ上院議長、台湾訪問へ 中国の脅迫をよそに【AFP通信:2020年6月10日】https://www.afpbb.com/articles/-/3287452

 チェコの上院議長は9日、今年1月に死去した前任者の計画を継いで、8月に財界訪問団とともに台湾を訪れる意向を示した。この台湾訪問については、中国による批判と脅迫があったことが判明している。

 ミロシュ・ビストルジル(Milos Vystrcil)上院議長は報道陣に対し「私は台湾に行く。これが正しい決断だと確信している」と話した。

 人権の闘士であり、1989年のビロード革命(Velvet Revolution)で旧チェコスロバキアの共産政権を打倒した反体制派の指導者だった故バーツラフ・ハベル(Vaclav Havel)元大統領の衣鉢を継ぐべく、ビストルジル議長は7日間の台湾訪問を行うと述べた。

 右派の野党である市民民主党(ODS)所属のビストルジル議長は「もし政府の外交方針がその使命を全うせず、人権と自由を支持しないのなら、こうした外交方針の側面を強調するのは議会の役目だ」と話した。

 ビストルジル議長は、台湾訪問団の団長を務める予定だったものの、心臓発作で死去した故ヤロスラフ・クベラ(Jaroslav Kubera)元上院議長の訪問プランを踏襲するという。

 クベラ氏の死去後、チェコメディアは在プラハ中国大使館の印章が押された書簡を公開。その中で中国は、クベラ氏および同行する予定のチェコ企業を脅迫し、「代表者がクベラ上院議長とともに台湾を訪れるチェコ企業は、中国では歓迎されないし、中国人も歓迎しない」と述べていた。(c)AFP

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