日本の大学の危機(一)「台湾の武力統一」を主張する熊達雲山梨学院大学教授

「台湾の声」日本の大学の危機(一)

「台湾の武力統一」を主張する法学者 熊達雲山梨学院大学教授

6月15日、「中美印象」というアメリカのメディアサイトに「アメリカと戦って勝利し台湾を武力統一せよ」と公然と主張する評論が掲載された。作者は我が国の山梨学院大学で法学を教え、同大孔子学院学院長も務める熊達雲(ゆうたつうん)教授である。

*「中美印象」はジミー・カーター元米大統領夫妻のNGOカーターセンターが運営する米中情報メディア

2020/6/15 「中美印象」
http://www.uscnpm.com/model_item.html?action=view&table=article&id=22057

これより先の5月1日、香港メディア「紫荊」に『超限戦』の著者として有名な人民解放軍の喬良空軍少将(人民解放軍国防大学教授)へのインタビュー記事「我们不应该跟着美国的节奏跳舞(アメリカのリズムで踊ってはならない)」が掲載され、波紋を呼んでいた。

というのも、タカ派で名を馳せる喬良将軍が「今戦っても中国はアメリカに勝てないから、台湾の武力統一を棚上げせよ」と主張したからだ。アメリカが弱っている今こそが台湾統一の好機だとする世論を諫め、主権にはいろいろあって領土の主権だけが重要ではない、今、台湾を武力で統一しようとしてアメリカと一戦を交えれば、中国復興の大義を達成できなくなると訴える内容は、自身の権力維持のためになりふり構わずアメリカと対抗し、危険な方向に突き進む習近平に対するメッセージでもあった。だが、タカ派の代表人物である喬良氏の突然のトーンダウンに、中国人からは「弱腰だ」と批判する声が多く上がった。

2020/5/1 「紫荊」
http://hk.zijing.org/2020/0501/815612.shtml

このインタビュー記事を中美印象が転載したところ、中国内外の中国人学者13人が評論を寄せた。その中で、とりわけ長文の評論を発表したのが山梨学院大学の熊教授である。

熊教授は「中美关系的演变与两岸统一的时机预测(中米関係の変化と両岸統一の時機についての予測)」と題する論文で、「喬良の文章では、両岸の統一は中国の総合的な力がアメリカを上回った後にこそ可能になると言っているようだ。この予測は消極的すぎると筆者は考える」と指摘し、以下のような主張を行っている。

・李登輝が特殊な両国論を提起した後、民進党など台湾独立勢力が台頭し、両岸の平和統一が遠のいた。

・力をつけていった中国は国際社会における義務を負うべく、人類運命共同体という理念を打ち立て、一帯一路建設を進め、新興国と共に国家開発銀行を設立。他国および国際社会に対し発展の機会を提供してきた。

・だが、世界の覇者アメリカは「以小人之心度君子之腹(小人の心をもって君子の腹を量る)」により、中国がアメリカに代わって世界の覇者となろうとしていると勘ぐり、中国牽制にシフトしたため、中米両国の衝突が激化した。

・中米問題の原因はアメリカ側にあり、中国が示してきた友好と妥協を欺いてもよいものだとみなして、中国に対して極限的な圧力を強めている。

・とくに悪辣なのは中国で新型コロナウィルスが猛威を振るっている機に乗じて可決された台北法案である。台湾独立勢力にお墨付きを与え、中国のレッドラインに挑戦し、台湾海峡での戦争が引き起こされるのを暗に支持し、アメリカは火中の栗を拾って、中華復興を阻止しようとの戦略目標を達成しようとしている。

・中米両国の総合的な力の差が縮まるには50年かそれ以上かかると専門家は見積もっている。だが、台湾統一をさらに50年待たねばならないというのは国民の了承を得ることは難しい。共産党政権の合法性が問われ、国内で政治動乱が起きる可能性もある。

・中華民族の歴史と伝統から言えば、両岸統一は大勢の赴くところだ。台湾独立勢力は14億の両岸統一を渇望する中華の子女と比べれば、大樹を揺らそうとする羽蟻のような身の程知らずである。

・平和統一が最良の選択だが、独立勢力による阻止に直面した時には、武力統一もやむをえない必須の選択である。

・台湾海峡で戦争が始まったらアメリカの干渉があることを念頭に、戦略、戦術を策定しなければならない。衛星通信、偵察攻撃、遠海での阻止、制空権掌握、後方支援での優勢をもって、空軍力に長けた米軍の介入を阻止しなければならない。中国には天と地の利(地政学的な利点)があり、武器と技術を保有し、十分な数の切り札さえあれば、中国軍が勝利することができるだろう。

・切り札には、北斗衛星GPSによりアメリカの牽制を受けなくなった衛星導航系統や原子力潜水艦、東風シリーズの準長距離弾道ミサイル、中国製造2025で蓄積された優れた技術などがあり、これらを駆使してアメリカより優勢に立つことができる。

・台湾独立勢力を釜底抽薪にする。民進党の資金もしょせんは支持者の台湾人が中国で稼いだ金だから、中国に進出する台湾企業への優遇政策を調整する。両岸統一を支持する企業や個人は優遇し、台湾独立勢力を支持する者は中国への進出を認めず、追い出す法律を制定する。

アメリカの同盟国である日本の大学で教鞭を取りながら、アメリカとの戦争を公然と主張し、武力による台湾統一も辞さないという。台湾統一は「14億の中華の子女が渇望している」として、人口の多さを根拠に侵略を正当化しようとする主張は国際常識が著しく欠如した恫喝以外の何物でもない。

世界の平和を武力で破壊し、台湾侵略を主張する法学者が日本の若者に何を教えているというのだろうか。学問の自由、言論の自由、人権が保障された民主主義国家に長年住んでいても、独裁政権に奴隷化された精神は変わらないようである。

熊教授が学院長を務める山梨学院大学孔子学院は、世界で孔子学院が問題視され撤廃がすすむなか、2018年12月に開設された。

〈つづく〉


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