中国は南太平洋で修正主義を続け、一帯の国々をいじめたり賄賂を贈ったりして台湾との外交関係を断絶させようとしている。9月には、台湾の数少ない同盟国だったソロモン諸島とキリバスが台湾と断交し、中国政府についた。
米国の議員らは注目している。上院外交委員会は2週間前、台湾を防衛する「台北法」法案を上院本会議に上程することを全員一致で決定した。同法案の狙いは台湾を孤立させないことだ。米国が台湾と自由貿易協定を結ぶことや、台湾がより多くの国際機関に加盟すること(これに対する中国の妨害は激しさを増している)を目指している。また同法案は米国務長官に対し、外国政府に台湾との関係を強めるよう働きかけるよう指示し、台湾との関係を弱める国への経済・軍事支援を控えるよう促すことになる。
なぜ米国がマーシャル諸島のような遠く離れた小国に影響を及ぼすために財政・外交資本を費やすべきなのか。答えは、中国を向こうに回し、忠実な民主主義の盟友である台湾を支援することが米国の国益にかなうからだ。中国は台湾を外交面で窮地に追い込み、香港の自治への対応と同様、最終的にその主権を侵害しようとしている。
太平洋での政治的均衡は米国の国家安全保障にとっても重要だ。19世紀以来、アジアでの開かれた経済秩序は米国の海軍力によって補強されてきた。太平洋諸国が中国政府と手を結ぶなか、太平洋における米国の軍事的地位は圧力にさらされている。米国とオーストラリアなどの同盟国の部隊を脅す拠点を中国が得ることも考えられる。
米国は、法律を守る世界大国としての中国との共存を望んでいる。しかし、習近平国家主席の中国には、太平洋における米国主導の国際システムを覆し、経済的重商主義と中国の政治的支配を行き渡らせようと狙っている兆しが随所にみられる。
コリー・ガードナー上院議員(共和、コロラド州)が台北法の法案を提出したのは、トランプ政権が新型F16戦闘機66機を台湾に売却することを承認してから1カ月余り後のことだ。バラク・オバマ前大統領は中国の反発を恐れ、売却承認を控えていた。だが、中国の反応は抑えられており、トランプ氏の決定は議会で超党派の賛成を得ている。米国の外交政策に対する拒否権を中国政府に与えなかったトランプ氏は正しい。
F16は中国による台湾占領を抑止するのに役立ちそうだ。習氏は台湾が本土と「再統一」されなければならないと話し、中国は定期的に脅しをかけ、侵攻訓練に似た軍事演習を行っている。台湾総統の政治にも介入しようとしているが、中国による今年の香港対応が逆効果になっているらしいところを見ると、再選を目指す蔡英文総統の追い風になり得る。
台北法は中国の行いに対する有効な反応であり、アジア・太平洋の米同盟諸国の背後に超党派連合がついていることを示す。