本誌では何度か台湾の気象衛星についてお伝えしているが、李登輝総統時代の1999年1月27日に台湾初の衛星「フォ ルモサット1号」が米国フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられ、世界で33 番 目の人工衛星保有国になった。
その後、フォルモサット2号(2004年5月21日)、フォルモサット3号(2006年4月15日)、フォル モサット4号(2008年に中止)、フォルモサット6号(2009年中止)、蕃薯号(中止)、フォルモ サット5号(2017年8月25日)と続く。
今回、打ち上げに成功したフォルモサット7号はフォルモサット3号の後継機で、本体の製造はイギリスの民間企業SSTL(サリー・サテライト・テクノロジー・リミテッド)が担当したものの、台湾で生産された試験設備やアンテナが採用され、初めて台湾で自主開発した人工衛星管制システムを採用しているという。
4月14日に新竹市の国家宇宙センターで「壮行会」を行ってからケネディ宇宙センターに搬送されたそうだ。
「フォルモサット7号」計画の規模は台湾と米国の協力プロジェクトとして過去最大だと言われていて、国家宇宙センターでモニターを通して打ち上げの様子を見守った蔡英文総統の隣には、米国在台湾協会(AIT)のウィリアム・B・クリステンセン台北事務所長の姿もあった。
Taiwan Today誌によれば「行政院の第3期『太空科技長程発展計画』は2019年から2028年までの10カ年計画。251億台湾元(約883億日本円)を投入し、産官学のエネルギーを結集し、人工衛星10機を自主開発し、航空宇宙産業における台湾のナショナルチームを作り上げる」ことを目指しているという。
—————————————————————————————–台湾の新しい気象衛星、打ち上げ成功 蔡総統「宇宙開発の一里塚」【中央通信社:2019年6月25日】http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201906250004.aspx
(台北 25日 中央社)台米共同プロジェクトの気象衛星「福衛7号」(フォルモサット7号)が台湾時間25日午後2時30分、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。蔡英文総統は、台湾の宇宙開発の一里塚だと喜ぶとともに、将来的には毎年新しい衛星を1基ずつ打ち上げる意向を明かした。
福衛7号は2006年に打ち上げられた福衛3号の後継機。イオン速度計や全地球測位システム(GPS)受信機を搭載し、4000カ所以上の地点から気象データを収集する予定。特に中・低緯度地域での観測成果は、台風や梅雨、異常気象などを予測する際の正確性向上につながり、防災にも役立つことが期待される。
北部・新竹市の国家宇宙センター(国家太空中心、NSPO)でモニターを通して打ち上げの様子を見守った蔡総統。福衛7号は地形や天候の影響を受けることなく最大限に機能を発揮でき、台湾が同機を通じ、防災や持続可能な発展などの分野で国際社会に貢献できると述べた。
(劉麗栄/編集:塚越西穂)