その後、フォルモサット2号(2004年5月21日)、フォルモサット3号(2006年4月15日)、フォルモサット4号(2008年に中止)、フォルモサット6号(2009年中止)、蕃薯号(中止)、フォルモサット5号(2017年8月25日)と続く。
この6月には「フォルモサット7号」がケネディ宇宙センターからも打ち上げ予定だそうで、4月14日に国家宇宙センターで「出発」のセレモニーを行うそうだ。「Taiwan Today」が伝えているので下記にご紹介したい。
では、台湾の気象衛星のこれまでの軌跡はどうなっているのか、かつて本誌で紹介した中央通信社の記事を併せて紹介してみたい。
気象情報は天候予測や台風予測、災害防止に欠かせない。また、安全保障上においても欠かせない情報だ。台湾は米国が結んだ技術協力協定に基づいて米国内から打ち上げられてきたが、日本も気象衛星「ひまわり」を独力で打ち上げるまでになっている。この気象衛星の分野で日台の協力関係はできないものだろうか。
—————————————————————————————–福衛7号が打ち上げに向けて米国へ、14日には宇宙センターで壮行会【Taiwan Today:2019年4月9日】
国家太空中心(NSPO=国家宇宙センター)が4月14日、一般開放して気象衛星「フォルモサット7号」(FORMOSAT-7、中国語の名称は福爾摩沙衛星七号、略称は福衛7号)の壮行会を開催する。「フォルモサット7号」計画は2010年に台湾と米国が結んだ技術協力協定に基づき、科技部(日本の省レベル)に属する財団法人国家実験研究院国家宇宙センターと米国の海洋大気庁(NOAA)が共同で執行しているもので、打ち上げ時期が迫っている。
「フォルモサット7号」は6月にも予定される打ち上げに備えて米フロリダ州にあるケネディ宇宙センターに搬送される。このため科技部は14日に国家宇宙センターで「出発」のセレモニーを行うことにしており、当日、国家宇宙センターに行けばその「壮行会」を体験できる他、科学を題材にした様々なゲームに挑戦したり、SNSでチェックインすることで秘密のプレゼントがもらえたりするイベントに参加できる。会場にやって来られない人には、「国家太空中心NSPO」のフェイスブックを通じて会場の様子がライブ配信される。
国家宇宙センターの計画では、打ち上げの69日前に搬送のイベントと記者会見が開かれることになっており、これに基づけば「フォルモサット7号」の打ち上げは6月下旬と予想される。
「フォルモサット7号」はスペースX社の開発した大型ロケット、「ファルコン・ヘビー」で打ち上げられる。国家宇宙センターの関係者によると、同型ロケットはまもなく「アラブサット6A」を打ち上げるが、次の打ち上げ予定が「フォルモサット7号」であることから、国家宇宙センターでは「アラブサット6A」の打ち上げ状況を注視したいとしている。また、「フォルモサット7号」は米国へ搬送されてから、少なくとも1カ月あまりかけて統合テストが行われることになっている。
「フォルモサット7号」は米国のGPSとロシアのGlonassという2つの衛星測位システムのデータを受け取ることが出来、収集可能なデータ量は「フォルモサット3号」の3倍から4倍に達する。それにより天気予報の精度の10%アップが期待されている。また、データ収集の頻度も高まる。「フォルモサット3号」では3時間かかったが、「フォルモサット7号」は地球上の天気に関するデータ収集は45分、宇宙天気も30分で収集可能だという。
「フォルモサット7号」計画の規模は台湾と米国の協力プロジェクトとして過去最大。気象観測や災害防止、さらには災害を失くす上で大いに役立つものになる他、地球全体の気候変動及び持続可能な発展といった課題に向けて台湾がより多くの貢献を果たすものでもある。
—————————————————————————————–福衛1号から5号、そして7号へ 台湾の宇宙開発の歩み【中央通信社:2017年8月26日】
(台北 25日 中央社)初の純国産高解像度地球観測衛星「福衛5号」(フォルモサット5号)は25日午前2時51分(現地時間24日午前11時51分)、米カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地からファルコン9ロケットで打ち上げられ、台湾の宇宙開発史に新たなページが開かれた。人工衛星にまつわるエピソードを通じて、これまでの歩みを振り返る。
▽台湾初の人工衛星「福衛1号」
地上約600キロの軌道を回る低軌道衛星で、1999年1月27日、米フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられた。2004年6月18日に運用終了となった。
一部の部品のみが台湾製だったものの、世界で33 番目の人工衛星保有国になったことの意義は大きい。当時の国家科学委員会(現科技部、科学技術省に相当)が1億台湾元(約3億6000万円)の保険をかけた。
▽台湾初のリモートセンシング衛星「福衛2号」
2004年5月21日に米バンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた高解像度地球観測衛星。同じ地点を1日2度通過するように設定されており、北極・南極のデータを毎日集めることができた当時唯一の人工衛星だった。
2006年、台湾東部の港で、外国籍貨物船による油漏れ事故が発生した。損害賠償訴訟を起こした台湾を勝訴に導いたのは、同機が捉えたクリアな映像だったという。
2011年の東日本大震災では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に、東北地方の観測データが提供されている。
2016年8月19日に予定より7年長い12年間の任務を終えた。
▽現役で活躍する台湾初の気象衛星「福衛3号」
2006年4月15日に米バンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた。6機の小型衛星を放出して地球の大気圏と電離層を観測、「宇宙で最も正確な温度計」と呼ばれる。1機が連絡を絶ったため、現在は5機で運用中。
▽計画が頓挫した「福衛4号」、「福衛6号」、「蕃薯号」
福衛4号は、5機の小型衛星を搭載したリモートセンシング衛星で、解像度6.5メートルの連続写真を毎日提供できるとされ、農作物の生長や森林の変遷、災害分析などへの活用が期待されていた。2008年打ち上げの予定だったが、調達がらみの汚職事件が発覚して頓挫。計画は「福衛5号」の名で引き継がれた。
福衛6号は、初の純国産GPS衛星。台湾は、2012年に自力で打ち上げるべく研究開発を進めていたとされるが、2009年、再評価によって計画は白紙に戻された。
蕃薯号は、国家宇宙センター(国家太空中心、NSPO)、大学、民間企業が共同で研究開発した、一辺の長さが10センチの立方体で、体積がサツマイモ1個ほどの超小型衛星。2002年に組み立てとテストを終了、米国や日本の超小型衛星とともにロシアのロケットで打ち上げられる予定だったが、ロシア政府の反対で頓挫した。
▽来年打ち上げ予定の福衛7号
福衛3号の後継機。13機の小型衛星からなる人工衛星群で、来年6機を打ち上げ、5年間の任務に当たる予定。毎日1万2000〜1万8000カ所の大気データを提供するほか、電離層がGPSに及ぼす影響を調べることもでき、国民の暮らしや国防技術の発展に役立つことが期待されている。