このほど35冊目になるという台湾のガイドブック『台北・歴史建築探訪 日本が遺した建築遺産を歩く 1895〜1945』(2019年3月20日)を出版。版元は、李登輝元総統著『李登輝より日本へ 贈る言葉』(2014年6月)や夫人の片倉真理さんの『台湾探見』(2018年4月)も出版しているウェッジ。
B5判変型で364ページの大部。それも、オールカラーという贅を尽くした仕立てとなっている。それでいて、本体価格1,800円は安い。
書名の「台北・歴史建築探訪」が示すように、台北市内に残る、大は総統府や台北賓館から小は旧圓山駅長官舎や太鼓が残されている北投の天台玉皇宮という廟など、200件ほどの歴史建築を紹介している。2ページ見開きは写真を4点から6点ほど、1ページものは写真1点から3点ほどを配したレイアウトとなっている。写真もほとんどが片倉氏の撮影による。
片倉氏は本書の意義について「台湾に残る建築遺産を見ることは、台湾を知るばかりでなく、『日本』を知ることでもある。そして、過去に限らず、台湾という国家の今の姿に向かい合い、今後の発展を想像するという意義もある」(はじめに)と記す。
台湾は歴史的建築物を大事にする国柄を有する文化国家だ。それが日本時代の建築を古蹟として保存することやリノベーションして後世に伝えようという姿勢に如実に現れている。日本人としてこれほど嬉しいことはない。
本文紙は写真などが裏抜けしない薄い斤量の紙を使っているが、なにしろ364ページの大部(重さ約700g)。ガイドブックとして持ち歩くにはいささか不便だが、押しつけがましくない抑制の効いた文章と美しい建物の写真に招き入れられるような、見飽きることのない魅力に満ちた本だ。
来る4月7日には、本書の刊行記念講演会が東京・新橋で開催されるそうだ。詳しくは下記をご覧いただきたい。
◆片倉佳史のもっと台湾トークライブin新橋 新刊刊行記念 https://kokucheese.com/event/index/561007/