昨年11月15日に発表した年次報告書では、台湾をリムパック(環太平洋合同演習:Rim of the Pacific Exercise)など米主導の軍事演習に招待すべきと提言し、またリムパックばかりでなく、空軍軍事演習の「レッドフラッグ」やサイバー攻撃に対する国際演習「サイバーストーム」に台湾を招待すべきとも提案。また、今年3月にトランプ大統領が署名して成立した「台湾旅行法」を先取るように、相互訪問により地位の高い政府関係者を派遣すべきと提案していた。
トランプ大統領が12月12日に署名して成立した「2018年国防授権法案」(NDAA)でも、海軍の艦船を高雄など台湾の港に定期的に寄港させ、太平洋軍が台湾の入港や停泊の要請を受け入れることや、「レッドフラッグ」への台湾の招待、水中戦での攻撃能力向上を目指す台湾への技術支援などを含む、米国と台湾のさらなる関係強化をめざす7項目が盛り込まれていた。
3月に成立した「台湾旅行法」では、米国の全てのレベルの政府関係者による台湾訪問および対等な行政レベルにある台湾の政府関係者への訪問を解禁すると定めるなど、米国が進める台湾との関係強化は留まるところを知らないかの感がある。
米国はさらに一歩踏み込み、このほど「米中経済安全保障調査委員会」のキャロリン・バーソロミュー副委員長一行が訪台し、蔡英文総統と意見交換している。台湾国際放送が伝えているので下記に紹介したい。
米国の台湾関係強化策は一日にしてできあがったわけではなく、このような人的交流を含め、地道な積み重ねの上にあることがよく分かる。
ちなみに、キャロリン・バーソロミュー副委員長は、現在、下院議長を務め、民主党内ではもっとも中国に厳しい議員の一人と言われているナンシー・ペロシ氏の首席補佐官をつとめたことがあるという。
————————————————————————————-蔡・総統、USCC訪問団の表敬訪問受ける【台湾国際放送:2018年5月23日】
http://japanese.rti.org.tw/news/?recordId=86484写真:蔡英文総統(右)とキャロリン・バーソロミューUSCC副委員長
蔡英文・総統が22日、アメリカ国会の「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」訪問団一行の表敬訪問を受けました。蔡・総統はあいさつの中で、「同委員会が昨年台湾を訪問した後、2017年度の報告を発表した。同委員会は報告の中で、アメリカの国会に対して、行政機関が台湾をアメリカ主導の二国間、又は多国間の演習に招くことと、相互訪問により地位の高い政府関係者を派遣するよう提案した。」と指摘しました。蔡・総統は、これは台湾に対する支持の現われだとし、台湾の人々を代表して謝意を表明しました。
蔡・総統はまた、アメリカの下院議員172人と上院議員13人がそれぞれ世界保健機関の事務局長に、台湾によるWHA参加支持を表明した書簡を送ったことを歓迎すると共に、民主と人権のために立ち上がった、これらの国会議員にも感謝しました。
蔡・総統は、台湾はインド太平洋地区の責任感ある一員で、地域における役割の強化に努めていると共に、新南向政策の推進にも積極的に取り組んでいる。区域内の国々と共に地域の繁栄と発展を促したいと説明しました。
台湾とアメリカとの関係について、蔡・総統は、「安定した台米間のパートナー関係は、アメリカの経済面での安全において前向きな役割を果たしている」とし、アメリカは台湾を通商拡大法232条の適用対象外にするよう求めると共に、双方は今後も経済貿易の議題について引き続き建設的な対話を行うよう期待を寄せました。
蔡・総統は、USCCが台米間の経済貿易関係強化の重要性を強調するよう求めると共に、今回の訪問を通じて台湾を取り巻く環境に対する理解を深め、台米間の関係がさらに緊密なものになるよう働きかけてくれると願いました。
なお、台湾は、今年6月、大規模な代表団をアメリカのワシントンに派遣し、アメリカへの投資を促進する「セレクトUSA (Select USA)」」投資サミットに参加する予定です。
(編集:王淑卿)