日曜日(25日)、花見客で賑わう東京の市ヶ谷で開かれた日本李登輝友の会の総会で、台湾の法的地位に関する質問があった。
質問者の立場は、どうやら、台湾は「中華民国」である、というようなものであり、日本版台湾関係法、台湾正名運動を支持・推進する方針の日本李登輝友の会の見解についての質問だった。
「台湾関係法」は、そもそも、台湾を国であると承認することなく、実質上の国として扱うための方策である。
柚原正敬事務局長が紹介した、日中国交正常化前から一貫している日本政府の見解、すなわち台湾未定論と同様、ということであってもなんら問題はない。
一方、質問者の主張(「台湾=中華民国」論)には問題がある。「中華民国」は中国を代表していた政府で、日本および多くの国々は、それが中華人民共和国に継承されたもの、ないしは、中華人民共和国に継承されるべきものとして処理している。
たとえば、駐日本大使館が継承された。そればかりでなく、「中華民国」政府が、台湾への撤退後、1952年に取得した光華寮についての訴訟に関し、最高裁判所の2007年3月27日の判断では、1972年をもって、中華民国政府ではなく、中華人民共和国に訴訟を行う権限が継承されたと解釈している。
これに従うと、仮に、台湾が「中華民国」のものであるとすれば、それは中華人民共和国に継承されるべきものということになる。
確かに台湾を統治している政府は「中華民国」を名乗っている。しかし、今後、それを日本および国際社会の多くの国々が認めることは不可能だ。
台湾という国家を確立し、国際社会からの承認を得るためには、台湾が、現実に即した憲法を持つこと、および、中国とは関係のない国名を名乗ることが必要だ。
台湾地位未定論であれ、新生国家理論であれ、台湾の「国家正常化」が必要だという認識は共有されている。その正常化すべき点として、上記2点は当然含まれているのである。
中華人民共和国が中国を代表しているという認識が広がった今、「台湾=中華民国」論への逆戻りはありえない。