台湾の今と日本メディアの台湾報道

台湾の今と日本メディアの台湾報道

台湾の声編集部 多田恵 2018年1月9日

 本誌で台湾のニュースを紹介するにあたり、既存の日本語メディアで適切な報道があったかどうかも取捨選択の基準のひとつである。

 台湾では今、労働基準法をめぐる抗議活動と立法院における各党の話し合いに注目が集まっているようだが、これは日々動きがあるもので、継続観察して初めて全体像が見えるようになってくるだろう。

 そのほかの比較的重要なニュースは、検索サイトで最近の日本語による台湾報道を検索してみると、いずれかのメディアで報道があるようである。

1.中国軍の台湾への圧力(1)-(3), (13)
2.中国による外交封鎖を突破した台湾の閣僚、唐鳳・政務委員の活躍(4),
(14)
3.台湾が和牛輸入を解禁(5)
4.中国の台湾におけるスパイ活動(6)-(7)
  キーワード:中国人留学生・周泓旭、新党の「青年軍」出身の王炳忠
5.新しいパスポートの挿絵ミス(8)
  政府はシールを貼って訂正するという案を出しているが、「台湾国」シールを認めないのと矛盾するのではとの声
6.中国の新たな航路設定に台湾が抗議(9)-(11)
  キーワード:“M503航路事件”
7.北朝鮮制裁に反した石油輸送に台湾企業が関与(12)
  中国の報道官が、台湾が関わったもので中国の問題ではないかのように言ったので、台湾独立派が喜んだらしい。
8.台湾政府の補助を受けたドラマを中国が台独だとして配信禁止し、台湾人女優が「台独を支持しない」と声明(に追い込まれた)件(15)
  キーワード:林心如、我的男孩。ドラマの内容は台湾独立とは関係がなさそう。
9.謝長廷代表の発言を中国系メディアが親日であると批判(16)

 なお、日本語で報道されていないことで、気になることといえば、元「中国時報」の特派員であり、現在・日本在住の作家として活動している劉黎児氏が1月2日(ネット版)に自由時報の家庭欄(家庭親子版)で、那須高原にある自宅の放射能汚染物の処理を例に挙げ、「今に至るまで、現地各地で落ち葉などの放射能汚染がひどく、燃やすこともできず、放射能が広がらないよう埋めるしかない。このような地域で生産された食品が食べられるかどうか、言うまでもなく自明である」と結び、台湾の人々を不安にさせたことである。

(1)
台湾侵攻の準備?中国軍機が台湾で執拗な周回飛行 
China Gearing Up to Strike Taiwan, Experts Say
2017年12月20日(水)18時30分 ニューズウイーク日本版 クリスティーナ・チャオ

(2)
中国軍事力増大、台湾の安全に「極めて深刻な脅威」
国防部が17年版「国防報告書」を発表
2017年12月26日 19時18分 毎日新聞 福岡静哉

(3)
台湾を中国軍機が周回飛行 中国側「定例演習」と主張
2017年12月27日(水)16時00分 ニューズウイーク日本版(ロイター)

(4) 台湾、ロボットで「出席」 中国に一矢
2017年12月29日 20時16分 毎日新聞 福岡静哉

(5) 台湾で和牛ブーム 輸入16年ぶり解禁
2017/12/31 17:43 日本経済新聞 電子版【会員限定記事】

(6) 中国籍の男 スパイ活動の疑い 台湾で秘密組織結成か
1月3日 20時39分 NHKニュース・ウェブ

(7)
台湾司法当局「統一派政党幹部に中国から資金」 スパイ事件で異例発表2018.1.3
22:52 産経ニュース  田中靖人

(8) 旅券デザインミスで担当局長更迭
2018年1月4日 11時03分 毎日新聞 福岡静哉

(9) 台湾、海峡中間線航路で抗議声明
2018.1.4 17:54 産経ニュース 田中靖人

(10) 台湾、中国の新たな航路設定に反発
2018年1月4日 21:18 AFPBB News

(11) 台湾、中国新航路に抗議 事前協議経ず運用開始
2018/1/4 21:39 日経新聞(共同)(インターネット)

(12) 石油積み替え、背後捜査=北朝鮮制裁めぐり台湾
2018/01/04-19:26 時事通信社(インターネット)

(13)
中国の「文攻武嚇」に台湾“低姿勢” 共産党大会後も強まる軍事圧迫
2018.1.5 01:00 産経ニュース 田中靖人

(14)
IT専門家、女性に性別変更「天才閣僚」注目集まる
2018年1月7日インターネット配信 毎日新聞 福岡静哉

(15)
「台湾独立支持派」のドラマ!?ルビー・リン最新作、中国でいきなりネットから消える
2018/01/08 17:20 楽天WOMAN(レコード・チャイナ)

(16)
「尖閣問題や慰安婦問題は懸案」、台湾駐日代表の発言に批判—中国メディア
1月8日(月)23時40分 レコード・チャイナ

以下、(7)を引用する:

台湾司法当局「統一派政党幹部に中国から資金」 スパイ事件で異例発表
2018.1.3 22:52 産経ニュース

 【台北=田中靖人】台湾の司法当局が昨年12月、中国との統一を主張する政党「新党」幹部を一時拘束したスパイ事件で、台北地方法院検察署(地検)は3日までに、この幹部らが中国当局から20万ドル(約2200万円)を受け取っていたとする捜査結果を公表した。スパイ事件の詳細な内容発表は異例。これまで疑われてきた統一派団体への中国の介入が表面化した。

 地検の2日の発表によると、「国家安全法」違反で昨年9月に1審有罪判決が出ている中国人の元留学生=控訴中=のパソコンから、スパイ網構築の計画書や報告書が発見された。その中には、新党幹部が設立した評論サイトの運営経費として、中国の国務院(政府)台湾事務弁公室から2015年末までに20万ドルが支出され、その後3年間、毎年1500万~1600万台湾元(約5700万~6千万円)の支援が約束されたと記されているという。また、幹部らは工作対象として台湾の軍人計6人分の資料を元留学生に手渡していた。

 地検は、元留学生の追加捜査だとして幹部らを起訴していない。台湾メディアによると、中国の台湾事務弁公室の報道官は「根拠のない話だ」と否定している。


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