月の増収率は19.9%、光学レンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)では増収率69.4%を示
し、台湾IT景気が本格的な立ち直りを示しているという。これを受け、日本経済新聞は「台湾企
業の業績回復が鮮明になってきた」と報じている。
昨年5月20日、蔡英文氏は総統就任式演説で、最初に挙げたのが「経済構造の転換」だった。
「これは新政権が必ず取り組んでいかなければならない最大且つきわめて困難な使命」だと述べる
とともに、「改革の第一歩は、経済の活力と自主性を強化し、世界および地域とのつながりを深め」
てゆくことだと宣言した。
台湾経済は徐々に上向いている。台湾の報道によれば「2016年12月の台湾の失業率は3.79%で、
同月としては2014年と並び、2001年以降最低」となり、給与も「同年1月から11月までの平均給与
は4万8887元(約17万6729円)で、同期としては過去最高を記録した」(2017年1月23日付「中央通
信社」)という。
台湾企業の業績回復が失業率の低下をもたらしている一因と見られる。
台湾ITの復調鮮明 主要19社2月、3カ月連続増収
【日本経済新聞:2017年3月15日】
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX13H18_U7A310C1FFE000/
世界のIT(情報技術)景気を占う台湾企業の業績回復が鮮明になってきた。2月の主要IT19
社合計の売上高は前年同月比12.3%増となった。3カ月連続の増収で、増収率が2桁となるのは1年5
カ月ぶりだ。米アップルなどのスマートフォン(スマホ)向けの出荷が拡大した。企業の活発なI
T投資を受け、データセンターなど幅広い用途への供給も増えてきた。
19社合計の売上高は7641億台湾ドル(約2兆8300億円)。19社のうち18社が増収だった。前年と
旧正月(春節)の時期が違い、営業日数が増えた影響もあるが、その要因を排除した1〜2月の合計
でも前年同期比6.4%増だった。
「世界景気の回復を受け、顧客メーカーで在庫を増やす動きが本格化してきた」。台湾経済研究
院で景気予測を担う孫明徳氏はこう話す。
台湾各社はIT機器の部品や受託製造を手掛け、最終製品を販売する先進国などの顧客企業に比
べ、IT景気の変化が素早く業績に反映される。19社の復調は、15年後半からの中国景気の減速な
どの悪影響からIT景気が本格的に立ち直ってきたことを映している。
好調が鮮明なのはアップルのスマホ「iPhone」の部品を供給する企業。頭脳部のシステム
LSI(大規模集積回路)を一手に担う台湾積体電路製造(TSMC)は19.9%の増収だった。
組み立てやケースを手掛ける電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハ
イ)精密工業も3カ月連続の増収を確保した。同様に組み立てを担う和碩聯合科技(ペガトロン)
も14.4%増えた。
iPhoneの販売は2016年10〜12月が前年同期比5%増の7829万台と好調だ。
iPhoneの機能向上も追い風だ。上位製品のカメラは、より遠くまで鮮明に撮影できるよう
に「広角」と「望遠」の2種類のレンズを搭載。光学レンズ大手の大立光電(ラーガン・プレシ
ジョン)の増収率が69.4%となり、19社の中で最高となるのに寄与した。
アップルはノートパソコン「マックブックプロ」も好調で、製造を担う広達電脳(クアンタ)も
19.3%の増収だった。
アップル以外のスマホメーカーや電子機器の需要も各社の業績をけん引する。半導体メモリーの
DRAM大手、南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)は18.8%の増収。スマホやデータセンターで情
報処理能力の高い製品の需要が高まった。
液晶パネル大手では友達光電(AUO)は41.6%、群創光電(イノラックス)は6割強の増収
だった。昨年後半から大型製品の需要が増加。「中国勢が赤字覚悟の安値攻勢から採算重視に転換
した」(液晶パネルのサプライヤー)こともあり、単価が上昇した。
台湾の経済紙「工商時報」は13日、「TSMCが人工知能(AI)で大型受注」と報じた。米エ
ヌビディアからは自動運転に使う最先端品を、米クアルコムからはデータセンターなどで情報を高
速処理するチップを受注したという。
(台北=伊原健作)