日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載
李登輝元総統がTVインタビューで台湾の法的地位について言及
昨日の台湾最大手紙の「自由時報」が、昨晩と今晩の2回にわたって放映の「新眼光電視
台」による李登輝元総統への単独インタビューの発言内容を報じた。下記に紹介したい。
曽文恵夫人の「総統を引き受けるべきではない」という発言を紹介しているが、これは
『最高指導者の条件』(2008年、PHP研究所)の冒頭でも詳しく触れられていて、「あ
る日、家へ帰ると、妻が涙を流して『総統になることをやめてください』と訴えたことが
あった」と記されている。
また、台湾の法的地位の関する発言も紹介している。米国や日本が解釈しているいわゆ
る「帰属未定論」を述べている。つまり、台湾は日本がサンフランシスコ平和条約で放棄
した後は、中華民国にも中華人民共和国にも属していない「その状態が現在まで続いてい
る」と指摘されている。
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非主流派と主流派の政争─李登輝元総統「当時、家内は『総統にならないで』と反対」
【自由時報:2012年10月18日】
〔記者李欣芳/台北報道〕李登輝元総統は、総統在任中を振り返り、国民党内の主流派
と非主流派の政争に直面した際、神に祈ることで難題を乗り切ったと話した。また、曽文
恵夫人は当初「総統を引き受けるべきではない」と、悩みを通り越して苦悩とも呼べるほ
どだった。そこで夫人に対し「そんなふうに考えるべきではない。私が総統になるのも神
のご意思だ。共に祈ろう」と諭したという。
李元総統は「新眼光電視台」の単独インタビューを受け、秘められたエピソードを語っ
た。番組は今日明日の2晩にわたり、午後8時から放映される。
李元総統は自身の経験をもとに、政治改革をスタートさせてから、改革の完了と目され
る時期まで、常に大きなプレッシャーに苛まされてきたが、信仰、すなわち神に寄り添う
ことで救われたという。「この信仰こそが唯一の救いであり、自身の倫理観を貫徹する手
助けとなったのです」。聖書は正義と愛の原則をいかに発揮するかを教え諭し、祈りを捧
げることで恐怖は取り除かれていった。
台湾の国際地位について、李元総統は次のように語る。第二次世界大戦終結後、それま
で植民地となっていた国家の大部分は独立した。台湾だけが独立せず、マッカーサーが発
布した一般命令第一号によって、中国地区の司令官だった蒋介石が台湾を占領し、日本軍
の投降を受けた。ここから、台湾は蒋介石総司令の支配下となり「日本が台湾を放棄した
後、どの国家に帰属させるか、法律上の説明は全くない。その状態が現在まで続いている。」
また、多くの人々が台湾は独立すべきだと考え、そのように主張するが、こうした考え
方はあまりにも理想的で実現は困難だ。「政権は我々の手中になく、押さえこまれている
ばかりだ。」
【翻訳:本誌編集部】