作家黄春明による公然侮辱事件
5月24日、日本でも作品『さよなら・再見』で知られる台湾の作家・黄春明が、その品のない、粗暴な本性を剥き出しにした事件があった。
台南の国立台湾文学館で開かれた「(「中華民国」)百年小説シンポジウム」に出席し、「台湾語での執筆と教育の検討」というタイトルで講演した黄春明が、参加した蒋為文・成功大学副教授に対し母親を侮辱する性的な言動を行った。
黄春明の講演内容は、台湾語で文章を書くことについて否定的な内容で、民進党政権期に台湾語での表記の基準の策定に大きな貢献のあった、ハワイ大学の鄭良偉・名誉教授や、台中教育大学の洪惟仁教授の名を挙げて、批判した。
実は、国民党統治下では隠蔽され続けてきたが、台湾語での文章の執筆は、1885年より継続して行われている。しかしながら、国民党の洗脳の結果、専門家以外で、このような事実に眼を向ける知識人は少ない。
一参加者としてこの批判を聞いた蒋・副教授は、客席で、プラカードを掲げた。それには、中国語で「台湾作家が台湾の言語でなく中国語で創作するのは恥ずべきこと」、そしてローマ字表記の台湾語で「台湾作家は台湾語で創作すべき(Tai-oan chok-ka ai iong Tai-oan-gi chhong-chok)」と書かれていた。
これを目にした黄春明が、その中国語部分を読み上げ、「お前こそ恥ずべきだ」と言い返したので、蒋・副教授とのやりとりに発展した。その中で、蒋・副教授が「素人のくせに、どんな根拠で台湾語による文章を批判するのか?」と言うと、黄春明は、シャツを脱いでアンダーシャツ姿になり、「やるか?来い。操他[女馬]的」と挑発した。挑発に乗らず、蒋・副教授が問いを繰り返すと、黄春明は、「ぶん殴ってやる」と息巻いた。
この口論が終わって数分後、蒋・副教授が再度プラカードを掲げると、黄春明は、これを見とがめて文句をいい、「警察を呼べ」と言ったあと、「訴えてやる。あいつは誰だ?」と質問した。蒋・副教授が「成功大学台湾文学科・蒋為文」と答えると、黄春明は、「成功大学の教授か。声の大きい獣だ*。お前の母親の××を××してやる(操你[女馬]的B)」と、文字にするのも躊躇われる中国語で罵った。その後、しばらくやりとりがあり、蒋・副教授は、退席して、抗議の表明とした。
文学者とは思えない、乱暴な言葉遣いである。この問題は数日間にわたって、メディアを賑わせた。27日の報道によれば、馬英九が黄春明に慰問の電話をかけたという。
去年の10月、テレビ司会者の鄭弘儀氏が、馬政権の中国から台湾の大学院への留学生に毎月3万台湾ドルの奨学金を提供する政策に憤って、「幹リン娘」(中国語の操你[女馬]に相当する台湾語)と悪態をついたときは、鄭弘儀氏が謝罪する結果となった。
台湾人がシナ人を罵った場合は、鄭弘儀氏のように謝罪しなければならないが、黄春明のように中国意識を持った腐った台湾人が、一層、口汚く台湾人を罵った場合には、罵ったほうが、馬総統からお褒めの電話をもらえるという、ダブルスタンダードで、理不尽な状況が台湾にはあるのである。
*中国語の陳腐な駄洒落。会叫的野獣。「教授」の「教」が「叫」と、「授」が「獣」と同音であるため。
2011/5/26 公視晩間新聞 黄春明台語文演講 成大副教授反[口倉] http://www.youtube.com/watch?v=RgbiH_wl96I