永山英樹
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日本国内で尖閣問題による反中感情の高まるのは、日本を言いなりにすることを対日外交政策の基本とする中国政府には極めて好ましくないことだ。そこであの国が長年にわたって培養してきた日本の媚中勢力に対し、「この事態を何とかしろ」と圧力を掛けている。
そしてそれを受け、同勢力は海保のビデオの公開を拒んだり、公務執行妨害容疑の船長を釈放して日中関係の修復を図ろうと試みたわけだが、すべてが裏目に出て、反中感情はさらに拡大するばかりだ。
そこで元外相、元中国国務委員(外交担当。副首相級)で知日派の唐家璇氏が動き回っている。「新日中友好21世紀委員会」の中国側座長として十月二十九日に来日した彼は、菅直人首相、仙谷由人官房長官らと相次いで会見し、それぞれと戦略的互恵関係の促進(関係修復)を行うことで一致したという。また菅氏との間では、APECでの日中首脳会談の実現が重要だとの認識でも一致した。
要するに中国側が「中国に逆らわない日本」に戻れと指示し、日本側が嬉々としてそれを受け入れたというわけだ。
なお唐氏は自民党の谷垣禎一総裁とも会っている。この人物も民主党政権による船長逮捕をも批判した筋金入りの媚中派だ。役職柄、中国の海軍力増強について懸念を表明したが、唐氏から「中国の国策は『和』だ。心配は要らない」などと諭されたのは、完全に侮られている証である。ここで「出鱈目を言うな」と反論するほどでなければ、谷垣自民党は国民の憂国の怒りの受け皿などにはとてもなり得ない。
さて唐氏は、政界だけでなく財界の媚中派にも工作を仕掛けている。十一月四日に日本経団連を訪ね、米倉弘昌会長と会談しているが、その際に持ち出したのが尖閣問題の「棚上げ論」だ。
同問題を「地雷だ」とまで称した唐氏。「しばらくは棚上げするという暗黙の了解が日中間にあった」とした上で、「島の問題は主権の問題であり、国民感情に関わる。すぐに状況を変えるような行動を起こすことがあってはいけない」と告げている。
かつて!)小平が日本に提案したのが、海軍力の増強、戦略的環境の好転までの間の時間稼ぎとしての「棚上げ」だった。日本側はそれを受け入れたことを否定するが、実際には「暗黙の了解」としたのは事実である。そして日本側だけがそれを固く守り、中国の尖閣周辺への勢力伸張を許したのもまた事実である。
要するに中国が一方的に「状況を変えるような行動」を繰り返してきたのだ。今回の事件もそうした過程の中で発生した対日挑発だった。
だが中国側は、それでも経団連は「棚上げ」に賛成し、中国に代わってそれを自国政府に要求するだろうと見たのだ。
中国が台湾に対する共同戦線工作の一つに「以商囲政」がある。文字通り中国に進出する台湾企業を籠絡し(あるいは脅迫し)、中国のために本国政府に圧力を掛けさせるというもので、すでに大きな戦果を挙げてきたわけだが、それと同じことを日本企業にも仕掛けているのである。
前回、中国をいたく激怒させのが小泉首相の靖国神社参拝問題だったが、「中国の理解が得られていない」などとして経済同友会それに反対の圧力を掛け続け、「不戦の誓い」の場として国立追悼碑の建設まで求めたのは、なお記憶に新しい。
当時経団連は参拝支持表明を見せたものの、それでも中国に強硬なわけではない。日中の良好な経済関係維持のため、両国の揉め事を何が何でも嫌い、ひたすら友好を求めたがるのも日本の財界の「習性」である。
そこで中国はその「習性」を利用し、「以商囲政」の策に出るのである。胡錦濤、温家宝、習近平など、訪日する中国の首脳が経団連訪問を重視してきたのも当然だ。
それでは今回、そうした働きかけを受けた米倉氏はどう動いたのだろうか。
唐氏の前では「日中関係では我々も先輩たちの努力を無にしてはならない」と応じたという同氏だが、八日の定例記者会見では早速「政治」に口を出している。つまり海保撮影のビデオが流出したことについて、こう言い放ったのだ。
―――日中関係の沈静化の流れに逆行する。政府がいうように公務員法違反であり、よく追及すべきだ。
―――領土問題について両国とも強い主張を持っており、それを認識した上でお互いに努力しながら隣人として仲良くしようという姿勢を貫いてきた。衝突事件がどうして起きたかの議論は既に済んだと思っており、追及すべきではない。
なんとこの人物は「日中関係を沈静化させ、隣人として仲良くするために、流出させた公務員は追及し、漁船の犯罪は追及するべきではない」といっているではないか。
経団連が日本経済のため、関係改善を望むのは結構だが、中国の日本の領土、領海に対する脅威拡大を見て見ぬふりをするよう政界にアピールするのは、「国家、国民の安全を懸念する国民感情の流れに逆行する」ものであるだけでなく、そもそも中国の走狗ならではの売国行為である。
国民の反中国感情の高まりを見て狼狽し、良識も理性もかなぐり捨ててしまう国内の媚中勢力。今炙り出しを受けるように、その悪辣、醜悪な姿を我々の前にさらけ出しているのだが、まるで自ら国民の批判に曝されようとしているみたいだ。このように「狗」とは、滑稽にして無様だ。
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