永山英樹
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一月三十一日放送のテレビ東京系「よろセン!」でモーニング娘の中国人メンバ
ー、リンリンさんが広げた「中華人民共和国」地図に大きな問題があった。
それは中国の政府機関である「中国地図出版社」が発行したもので、台湾がはっ
きりとその国の一部として描く、所謂「偽装地図」だったからだ(写真)。
それを見た台湾人留学生がテレビ東京に抗議。それに呼応してメールマガジン「
台湾の声」や本ブログも抗議を呼びかけた。
【参考】テレビ東京に抗議を!メディアは中国製「中国地図」を使用するな
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-647.html
私が同局に抗議の電話を掛けたのは二月三日。翌四日には番組関係者が私に面会
を求め、地図の非を認め、謝罪の意を表明するとともに、同じ誤りの再発防止の
ため社内教育を徹底する意向を示した。そこで私は「台湾は中国の一部ではない
」ことを示す資料を送付したのだが・・・。
ところが、訂正放送を断固求める台湾人の怒りは治まらなかった。「台湾の声」
編集長である在日台湾人の林建良氏は、台湾向けの姉妹誌「日本之声」(漢文)
を通じ、モーニング娘のボイコット運動を呼びかけた。
二〇〇四年の台湾総統選挙で、民進党に敗れた国民党の中国人勢力が選挙不正を
論って暴動を起こしたことを受け、中国人俳優のジャッキー・チェン氏が国民党
に加担して台湾人を誹謗する発言を行った際、真っ先にチェン氏への非難声明を
台湾紙で掲載したのが林建良氏だった。そのようなこともあってチェン氏非難が
台湾国内で渦巻き、昨年の選挙で国民党が勝つまで、同氏は台湾入国を控えざる
を得なくなった。もっとも入国後は激しい抗議デモに見舞われている。
チェン氏と同様、台湾で大人気のモーニング娘だが、彼女らの台湾公演などのボ
イコットでも訴えない限り、日本のマスメディアのいつまで経っても改められな
い「中国重視・台湾無視」体質は変えられないと、彼ら台湾人は考えるのである
。
その後、本三月三日になり、テレビ東京から電話が入り、二月の中旬と下旬、二
回にわたる社内の勉強会でこの問題を取り上げたとの連絡が入った。
一回目は番組スタッフを対象にしたもの。中国製を使わないなど、中国地図の扱
いに注意がなされた。二回目は放送禁止用語のチェックなどを行う全社内に向け
た研究会。そこでは台湾を中国の領土としないよう確認し合ったそうだ。
番組のちょっとした誤りにより、多くの視聴者には誤情報を植え付けられること
になる。台湾を含む中国地図は、これまで他局でも一般的に使用されてきたが、
抗議を受けて一度は非を認めても、他の番組がそれを使うと言うケースも多々あ
った。
それはテレビ東京も例外ではなかったのだが、今回の徹底した措置は、すべての
マスコミに対する良識的なモデルケースとなるはずだ。
一般の日本人なら見向きもしない「台湾問題」で、ともに抗議を行ってくれた方
々にはお礼を申し上げたい。こうしたマスメディアの台湾の扱い(もしくは台湾
報道)の正常化を求める運動こそが、中国の宣伝を打ち破る大きな力となること
と確信している。
現在、その話を「日本之声」(台湾向け・漢文)編集部に伝えているところだ。
これで台湾人たちは納得できるかどうか。何しろ彼らは従来日本において、尊厳、
感情を一方的に傷つけられ続けている。
日本人として、台湾人には申し訳ない気持ちでいっぱいである。
(写真キャプション)
ジャッキー・チェン氏が到着した台北空港は抗議者が殺到し厳戒態勢。穏やかな
イメージの台湾人を侮る驕りの姿勢が招いた結果。それでもおどけてみせるチェ
ン氏の傲慢さには、日本のマスメディアも通じるところがある(昨年6月)