台湾に生まれ、戦後、台湾から引き揚げてきた方々を中心に構成する(財)台湾
協会(梁井新一理事長)は去る10月27日、台湾に関する著作、研究、あるいは日
台親善交流に顕著な功績のある方を表彰する「台湾協会功労者表彰式」を東京・
有楽町の糖業会館において行った。
今回の表彰者は、喜久四郎氏、篠原正巳氏、中村信子氏、野口毅氏の4人。い
ずれの方も台湾関係者の間では著名な方々ばかりといってよい。また、4方とも
日本李登輝友の会設立当初以来の会員であり、野口毅氏は理事をつとめている。
心から各表彰者の業績に敬意を捧げると共に祝意を表したい。
ただ、残念なことに、篠原正巳氏は昨年12月の腹部大動脈瘤の手術後、この夏
に肺炎などを併発し、表彰の件は知り得たものの、去る10月11日、入院先の虎ノ
門病院で逝去されている。本誌としても篠原氏のご功績に敬意を表するとともに、
心からご冥福を祈りたい。当日は妹の吉永ミチ子さんが代理出席された。
以下、(財)台湾協会の「台湾協会報」(11月15日、第602号)から、それぞれの
功績をご紹介する。
・喜久四郎氏:台湾太平山会の会員及び台湾原住民との草の根の交流に努力、か
つまた、『太平山開発史』の資料収集などに尽力される。
・篠原正巳氏:台湾語の研究家として高く評価され、特に台中に関する著作を出
版するなど、長年にわたる研究の成果をおさめた。
・中村信子氏:『植民地台湾の日本女性史』全4巻を上梓、本書を完成するに当
たり、20年近くの歳月を費やして膨大な資料を渉猟し、歴史に登場することの
少ない女性の姿を、台湾統治50年の中に求めた、重要かつ貴重な文献を完成し
た。
・野口毅氏:昭和19年10月、九州大学在学中に志願、海軍主計少尉として、神奈
川県大和市の高座海軍工廠に配属、台湾少年工と起居を共にした。戦後、神奈
川県大和市の高座海軍工廠で航空機の生産に従事していた台湾少年工の皆さん
に、戦後60年を経た、平成15年10月、念願の卒業証書及び当時の在職証明書の
交付を実現させるため、政府当局に粘り強く働きかけるなど、日台友好親善に
多大な足跡を残した。
因みに、この台湾協会功労者表彰制度は平成2年(1990年)、協会創立40周年
を記念して始められ、これまで4回、15人の方が表彰されている。(編集部)